宝塚歌劇団花組トップ娘役・仙名彩世（せんな・あやせ）が１１日、兵庫・宝塚大劇場で「ＣＡＳＡＮＯＶＡ」の千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。

　仙台出身で、芸名のにも“仙”の字を入れるほど、故郷には思い入れがある。それだけに、東日本大震災の８年目となるこの日、本拠地でサヨナラショーを行ったことに「各地で追悼行事が行われ、卒業の祝福をいただくことに心の葛藤も感じております」と、複雑な思いも吐露した。

　本公演のあとに行われたサヨナラショーでは、大劇場トップ娘役お披露目公演のショー「Ｓａｎｔｅ！！」のワンピース型の水着のような衣装でダンスを披露すると、「ポーの一族」、「ＭＥＳＳＡＩＡＨ」のナンバーを熱唱。またトップスターの明日海（あすみ）りおとも息のあった最後のデュエットダンスも披露した。

　タカラジェンヌの正装である黒紋付きに緑のはかまで最後の大階段を降りてきた仙名は、葛藤を明かすと同時に「８年前、宝塚に戻ってくることに背中を押してくださった方々感謝しております」と語った。「ＣＡＳＡＮＯＶＡ」のセリフを引用して「６００年でも１０００年でも宝塚を愛し続けます。そして明日海さん、本当に好きです！」とコンビ愛を叫び、明日海に促されて、左手を頭の後ろから顔の横に持ってくる“花組ポーズ”の号令もかけていた。

　仙名は０８年３月「ＭＥ　ＡＮＤ　ＭＹ　ＧＩＲＬ」で初舞台を踏んだ。首席入団した優等生で、芝居・歌・ダンスと三拍子そろった娘役として活躍。１７年２月、明日海３人目の相手役として、花組トップ娘役に就任した。初舞台から９年目の就任は、娘役としては異例の遅咲き。しっとりした演技と確かな歌とダンスの技術で、明日海に寄り添っていた。

　東京公演は３月２９日～４月２８日。