ピース又吉、卒業式で超現実的訓示 社会の厳しさ教え「夢や目標は一度疑って」
お笑いコンビ・ピースの又吉直樹(37)が17日、大阪府東大阪市で行われた近畿大学の卒業証書授与式にゲスト出席し、卒業生7000人に向けてスピーチを行った。
又吉は、自身の若手時代の苦労などをユーモアをまじえて話しながら、人生は障壁や挫折もあって思うようには進まないことを伝え「自分の夢や目標、ビジョンは、一度疑っておいたほうが、後々に強くいられます」と超現実的なアドバイスを送った。
サプライズで登場し大歓声に迎えられた又吉は、慣れない場にはにかみながら「人生は何が起こるか分からないことを、お伝えできれば」と切り出した。
自身は高校卒業後にお笑いの世界を目指して上京したが「東京に行って1カ月で、思い描いていたのと全く違う状況になった」と回顧。「吉本の養成学校では『芸人に必要なのは明るさ、清潔さ、分かりやすさ』と言われ…全部、僕にはありませんでした」と振り返った。
ただ「僕が続けられたのは精神力が強かったのではなく『現状、こんなもんか』と受け入れることができたからだと思います」と語り「自分に過度に期待すると、それにつぶされるかもしれない。皆さん、間違いなく可能性は秘めています。ですが自分の夢や目標、ビジョンは、先に一度疑っておいたほうが、後々に強くいられます」と語った。
又吉は「仕事に、人に、まじめに向き合っていても、必ず意地悪を言う人とかもいます。夜にしょんぼり排水溝や、何も映ってないテレビをじっと見つめる時が間違いなく来ます」と断言。そのうえで「今にいいことが訪れると信じて、それを乗り越えてください」と求めた。
自身はピースを結成して数年後には「あまりに人気が出ないので、人が集まりそうな名前にしよう」と「又吉万国博覧会」に改名しようとしたことも明かし、笑わせた。「周りから見たら迷走ですが、真剣に売れたいと、工夫を考えていました。そうしてもがいている中で、尊敬できる人に出会ったり、表現できる場所をもらったりして、徐々にやっていける自信がついていったんです」と振り返った。
一方で「こんなことを言っている僕の相方の綾部くんは『スターになる』と言ってアメリカに行ってしまった」と笑わせるも、「彼には、僕と一緒で、オーディションに落ちまくった経験もある。それを踏まえての挑戦なので、何かをやってくれると期待してます」と語った。
スピーチ後に又吉は「逆に不安をあおるようなことを言ってしまったかも」と頭をかきながら「せっかくお話をいただいたので、僕の思うところをお話しさせていただきました」と語った。