BPO、フジ「とくダネ!」特集2本に「放送倫理違反」 故人表記ミスにも苦言

フジテレビ「とくダネ!」の特集について言及するBPO放送倫理検証委員会の川端和治委員長
フジテレビ
2枚

 放送倫理・番組向上機構(BPO)が8日、フジテレビの情報番組「とくダネ!」(月~金曜、前8・00)が放送した2つの刑事事件の特集に関する意見を発表した。放送倫理検証委員会での審議を経て「2つの特集には放送倫理違反があったと判断する」と示した。

 検証されたのは(1)「医療PJ『さい帯血医療』“医学博士”が“ヤミ治療”に関与か」(2017年7月27日放送)と、(2)「父親は元京都府知事 エリート府議を美人妻が“DV告訴”」(2017年8月28日放送)の2本。

 (1)は医師法違反容疑で逮捕されたA容疑者とはまったくの別人BさんをA容疑者として、のべ1分39秒放送してしまったこと、(2)は京都府議が「書類送検された」という報道を十分な裏付けなく放送したことと、「ストーカー登録」という用語を不正確に使用したことが問題とされた。

 同委員会は「全く別人のインタビュー映像を容疑者のものとして放送し、また、十分な裏付けのないまま府議が書類送検され、『ストーカー登録された』と報じるなど、事実に反する報道で誤った情報を視聴者に伝えた」と指摘。京都府議については、放送翌日に書類送検されはしたが、放送時点で十分な裏付けはなかったことも付記された。

 その上で、該当する2つの特集が「日本民間放送連盟放送基準」の「(32)ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない」、「(33)ニュース放送にあたっては、個人のプライバシーや自由を不当に侵したり、名誉を傷つけたりしないように注意する」に抵触するとした。

 また、日本民間放送連盟とNHKで定めた放送倫理基本綱領の「報道は、事実を客観的かつ、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」にも反しているとした。

 以上のことから、「2つの特集には放送倫理違反があった」との判断を下した。

 BPO放送倫理検証委員会の川端和治委員長は「特に刑事事件のセンシティブなことは、本当の意味の確認、しかも確認する先を間違わない確認をしなければいけないという意識を共有されなければならないのですが、どうもその意識が希薄化しているのではないかという危惧を感じています」と指摘した。

 また、テレビ業界全体を見て、「テレビとはネットとは違って、きちんとした裏付けをとった情報を流す、そういうメディアであるという認識が視聴者の側にきちんと育つような状態にならなければ、テレビというメディアの優位性をネットに対して主張することはできなくなっていくと思いますので、ぜひ考えてほしい」と呼びかけた。

 なお、この日の「とくダネ!」では存命のスキーヤー・三浦雄一郎氏を故人として放送してしまうミスも発生した。この点についても「放送局として事実をきちんと確認をとった上で放送する。それがメディアとしての使命である」と考える「文化」を「もっと育ててほしい」など苦言を呈した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス