BPO理事長 放送局の自主規制を懸念「萎縮すべきでない」「BPOは権力ではない」

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の濱田純一理事長=前東京大学総長=が4日、大阪市内で関西の放送局関係者を対象にした講演を行った。メディア側からは、昨今はBPOの審理・審議対象となることはダメージが大きく、番組制作における自主規制の風潮も存在するとの意見も出された。これに濱田氏は「BPOは権力ではない。放送局が萎縮してはBPOは成り立たない」とし、放送局は新たな表現方法への挑戦を続けるべきと説いた。

 濱田氏は講演で、BPOが視聴者からの意見・苦情を受け、審理・審議対象となった放送局・番組に対して出す「決定」「意見」などに関し「尊重していただくことが大前提だが、BPOの判断に対しても放送局側と見解相違があってしかるべきだ。BPOの判断が、唯唯諾諾と受け入れられ、何の議論も行われないのは良いとは思わない」と述べた。

 濱田氏はBPOが放送局の自主・自律を図るために設立された経緯を踏まえ「審議・審理のゼロは理想だが、放送局が萎縮してのゼロはまずい」と唱えた。昨今の番組制作者に向け「『べからず集』でマニュアル人間を作るのは、ジャーナリズムの本質、表現行為の本質に反する」との見解を示した。

 参加した放送局関係者からは「BPOの判断は重い」「審議対象となるだけでも…」との意見が出された。

 これに濱田氏は「放送局が萎縮するならBPOは成り立たない。BPOが権力になってはいけない。BPOの判断に対して、業界でさらなる批判や議論が起こるべきだ」とした。

 また番組制作現場からの、過去に比べると自由な番組作りが難しくなっている現状に関する声が紹介されると、濱田氏は「確かに昔に比べると窮屈になっていると思うが、かつてあった自由さは、他の人の権利を侵したうえでの自由ではなかったかは、考えないといけないポイントだ」と述べた。

 今回の講演は、07年に「発掘!あるある大事典」でねつ造問題があった関西テレビが、再発防止に取り組み続ける一環で、問題発生から10年を機に主催した。

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