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“蛭子エンブレム”Tシャツに

エビス流Tシャツを着た根本敬氏(右)とタキシード姿の蛭子能収=東京・渋谷のパルコミュージアム
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 漫画家でタレントの蛭子能収(68)が描いた五輪エンブレムがTシャツとなり、2016年元日から18日まで東京・渋谷のパルコミュージアムで開催中の個展「新春えびすリアリズム」の会場で発売されている。もともとは15年9月にデイリースポーツのコラム「エビス流」(同12月終了)に掲載されたイラストだったが、ネット転載を機にテレビ番組で取り上げられ、語学系書籍の表紙を飾るなど独り歩きしている。

 個展初日、蛭子はタキシード姿で手品を披露するなど会場の人気者だったが、Tシャツの話を振ると、「ほんとに売ってるんですか!?2、3分で適当に描いただけなのに」と、けげんな表情。そこで“仕掛け人”の漫画家・根本敬氏(57)にTシャツ化の背景と独自の蛭子論を聞いた。

 根本氏は1980年代前半から蛭子と重なる時期に月刊漫画誌「ガロ」で活躍し、08年には漫画共作ユニット「蛭子劇画プロダクション」を結成して2人で作品展を開くなど、盟友にして業界一の“蛭子ウォッチャー”として知られている。

 「うちの嫁がネットで見て『Tシャツにすれば?』と言ったのがきっかけなんですけど、久々にヘタウマの“ウマ”の部分がちゃんと成り立っているというか、最近の蛭子さんにしてはよく描けているなと。『早く終わらせて次の所に行きたい』みたいな気持ちで作風がぞんざいになって“ヘタめんどくさい”“ヘタやる気がない”という部分が近年は見えていたが、短時間でたくさん描かなきゃいけないというプレッシャーをかけられると『さすがだな』という絵を描く時がある。この絵はまさにそれです」

 さらに根本氏は、蛭子の芸能界における立ち位置を「くまのプーさん」に例える。

 「(人畜無害のいい人と思われていた)第1次蛭子ブームと現在の第2次ブームの違いは、ワイドショーの司会者が蛭子さんに対して『何の気持ちも入ってないコメントですね』などと突っ込んでも視聴者が納得している状況にある。予算をかけて海外に連れて行ってスリの密集地を歩かせてみたり。25年くらい前、みうらじゅんとか俺とかガロ周辺の人間が蛭子さんをいじっていたことを、今ではメディアぐるみでやっているわけです。その一方で蛭子さんは何をやっても許されるという、『くまのプーさん』状態になっている。周りは騒いでいるのに、本人は我関せずで『ハチミツが、ハチミツが…』とつぶやいているみたいな(笑)」

 その“何を言っても許される”境地に達した、「ガロ」の大先輩に水木しげる氏がいる。子供時代に「墓場の鬼太郎」に衝撃を受けた根本氏は「漫画界のある種の系譜において水木先生は“天皇”で、蛭子さんは70歳手前までずっと“皇太子”だった。(15年11月30日に死去した水木氏に代わって)蛭子さんは12月1日に即位して1カ月だけの“蛭子元年”があり、今年は“蛭子2年”。水木先生は暴言を吐いても、あのキャラクターが認知されているから好意的に解釈された。似たような状況に蛭子さんがいます」と力説する。

 そういえば、蛭子は1カ月前に発売された自身の日めくりを誰に買って欲しいかと報道陣に問われて「怠け者に買って欲しい」と答えていた。水木氏が遺した「幸福の七か条」の第六条には「怠け者になりなさい」とある。その“魂の一致”について今回問うと、「そんなこと言ったかなぁ。全然、覚えてないですね。最近、物忘れがひどいんですよ」と一蹴された。ただ、水木氏と蛭子には“無意識の一致”があることだけは証明された。

 といった背景から生まれたTシャツである。蛭子の原点となった「ガロ」の出版社・青林堂の流れをくむ青林工藝舎によって、個展終了後の1月20日頃からは同社の通販サイト「アックスストア」で販売される予定だ。(デイリースポーツ・北村泰介)

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