矢井田瞳 長女誕生は大きな変化
シンガー・ソングライターの矢井田瞳(37)が来年3月2日、デビュー15周年の記念アルバム「TIME CLIP」を発売する。
2009年に第1子となる女児を出産し「自分よりも大事な存在に出会えたことが、音楽制作にも大きな変化をもたらした」という。今年は初の弾き語りツアーやバンドを引き連れてのツアーなど精力的に活動した矢井田が節目の1年を振り返り、ニューアルバムへの思いを語った。
久々に発売するアルバムのタイトルの意味を、ヤイコは記者のノートの端を親指と人さし指でつまみながら説明してくれた。
「クリップ-束ねていくんです。時間を。時間って誰にも平等に流れていくけど、ある瞬間の気持ちや景色をクリップして、記憶していくことは人それぞれ。私なりに自分の時間をクリップした作品たち」
矢井田が束ねた“今”には、長女が公園で遊ぶ様子や夜眠る姿を歌った「SEKIRARA」が象徴するように“ママ目線”の楽曲が生まれた半面、恋愛ソングは減った。やはり、長女の誕生が歌の世界にもたらした変化は大きかった。
「子供を産んでからは、自分より大切な存在に出会ったことによって自分でも知らなかった感情を知ったり、それが日々更新していく感じはある。もっと人間の内面を掘り下げる内容が増えた」
6月から初挑戦
育児に忙しい毎日を送りながら、今年は「例年以上に精力的に活動した年」と振り返る。中でもインパクトがあったのが、6月から挑戦した初の弾き語りツアーだ。
「もう一度、自分の芯であるギターと歌に立ち返るいいタイミング。ここでやっておかないとこれから長く音楽を続けられないかなと取り組んだ。こんなに実感のあるツアーは初めて。私が発する音のみで進行していくのが楽しくもあり恐怖でもあったけど、より音楽を自由に楽しめるようになった」
音楽に対する愛情や興味がさらに増した体験をへて、来年はもっと多くの人に歌を届ける機会を増やしたいと意気込む。
「私も日々つらいことがある。それを共有してつながれるのが音楽。もっとつながれる手段として音楽を追究していきたい」
ヤイコの音楽を束ねる旅は、これからも続いていく。
