野口彩未プロを見て…若手の伸びしろ

 今年2月に初めてその名前「野口彩未(のぐち・あやみ)」を弟子の男子プロ、中田貴章プロから聞かされた。

 昨年のQT40位でようやく、今年の女子ツアーの出場権を取ったこと。体格も良いし練習はまじめにやりそうな20歳とのこと。QTの順位は下位なのだから、これ以上、下がることもなく、前進あるのみ-という環境だが、3月にツアーが開幕するというのに、2月から週末のみのレッスン開始では一体どうなることか…。

 しかし、ティーチングプロは、伸びしろのある、やる気のある生徒を教えるのが、最高に楽しい挑戦でもあるのだ。どんじりの場所からどこまで登っていけるか!?頑固でまじめな中田プロは心に決めた。

 最初にスイング動画を見た時、いくら下位選手とはいえ、伸びしろがあり過ぎる…。初日のレッスンからスイングも変え始めた。野口プロも3月から開幕であるけれど、スイング改造をすることを怖がらず、積極的に、熱心に練習に励んだ。確かに守りに入って怖がる要素は何もないし、順位は下位でも当然のような顔で居れば良いのだから。

 ツアーでは、1週目から6週目まで見事に予選落ち。しかも最下位や下から何番目という結果ではあったが、スイング、寄せ、パットまで、すべてを変えようとしているので、何の不安もない。試合結果を気にせずに練習をただ積み重ねて、そのやり方を試合で実践すること。試合で実践することができない人は、習っていないのと同じ。

 スイングを変えないとアプローチ、コントロールショットなどの技を教えることができない。なぜなら、特殊なショットを除けば、アプローチも同じ動きをするのだから。特殊なショットと基本的なショットが身に付けば、後はクラブや振りの変化で距離感を身に付けることが可能。

 6週連続予選落ちの中でも、ぐちゃぐちゃのスコアから6週目の75/75を出した時は、階段を一段上がった感じがした。要因はパター改善が完了したこと。パターの改善は一番早く、簡単に“答え”が出る。

 そして、7戦目、熊本出身の野口プロは初日に自己ベスト68を出して2位。2日目は順位や68のプレッシャーにも負けず、最終日も通常ラウンドで切り抜けた。初めて予選を突破し、35位でフィニッシュしたところにも成長を感じた。

 ツアーの順位は104、104、108、88、109、84、35。本人もびっくりの68は何が起こったのか?大地震に見舞われた熊本に関わるプロたちが上位で活躍した大会だったが、予選落ちの“常連”野口プロも熊本への熱き想いが味方をしてくれたのかもしれない。彼女にとっても忘れられない思い出の大会となった。

 今後の彼女は、引き続き“どこまで登っていけるのか”を目標にするのだが、年内には優勝争いを!と、中田プロの鼻息は荒い(笑い)さて、どうなりますことやら…。

 今年は、Nothing to lose!-です。(LPGAインストラクター・今井貞美)

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