【4】初Vの記念ウエアがカビだらけ!

 「藤井かすみのよもやま話・第4回=ツアー優勝1」

 今回はツアー優勝にまつわる話を紹介したいと思います。

 私がツアー初優勝を果たしたのはプロ7年目の2001年、ベルーナレディースでした。初日は31位と出遅れました。8番で2打目をグリーンオーバーしてダブルボギーをたたいたんですけど、いつもと違って妙に落ち着いている自分がいて、その時、なんとなく「今週は勝てるかも」って思ったんです。

 2日目に67を出して2位まで浮上しました。ところが、その夜、優勝できなかった夢を見たのです。私は泣きながら目を覚ましました。それまではよく優勝する夢を見て、目が覚めてガッカリするパターンが多かったので、この時ばかりは「夢で良かった」と胸をなで下ろし、改めて気合を入れ直しました。

 そして最終日。2日目に続いて67をマークし、2位に6打差をつけるぶっちぎりで初優勝しました。「優勝して泣くと次の優勝が遅くなる」と聞いていたので、必死で涙をこらえていたんですが、師匠の岡本綾子さんがそばにやってきて「泣いてもいいのよ」って言われて、「やめてくれ~」って思ったのをよく覚えています。

 仲間からはポカリスエットをかけられ、ベトベトのウエアのまま表彰式に出ました。家に戻って翌日、洗濯しようと、かばんから取り出すとカビだらけになっていて、「初優勝のウエアなのに~」と思いながら、泣く泣くゴミ箱に捨てたのも懐かしい思い出です。

 このベルーナレディースでは05年にも優勝できました。08年を最後に今は開催されていませんが、私にとっては本当に思い出深い大会です。

 この2勝も含めて通算10勝を挙げることができました。優勝した次の日に必ず決まってすることがあります。コンビニや駅の売店に行って、すべての新聞を購入して、自分の優勝紙面を見ながら余韻に浸るのです。幸せを感じる瞬間です。

 そして待ちに待った水曜日の朝。優勝賞金が通帳に振り込まれるのです。その続きは来週しましょう。(プロゴルファー)

 ◆藤井かすみ(ふじい・かすみ) 1967年11月30日、山口県岩国市出身。広島・安田女子高時代からソフトボール選手としてならし、東京女子体育短大時代は全日本大学選手権で優勝し、日本代表にも選出。23歳からゴルフを始め、95年にプロテスト合格。01年ベルーナレディースで初優勝を飾り、ツアー通算10勝をマーク。師匠は岡本綾子。夫は競輪選手の高橋健太。現在は兵庫・マスターズゴルフアカデミーでジュニアらを指導。162センチ、64キロ。

編集者のオススメ記事

主要ニュース

ランキング(ゴルフ)

話題の写真ランキング

写真

リアルタイムランキング

注目トピックス