蟬川泰果に「2年くらいつぶれてもいいから学んでこい」 米国挑戦を後押しした恩師の言葉

 阿部監督の後押しでアメリカでの試合に挑戦した蟬川泰果
 表彰盾を持つ小平奈緒さん(左)と蟬川泰果の代理の東北福祉大・阿部靖彦監督
 阿部監督の後押しでアメリカでの試合に挑戦した蟬川泰果(共同)
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 デイリースポーツ制定「2022年度ホワイトベア・スポーツ賞」の表彰式が31日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで行われた。男子ゴルフツアー史上初めてアマチュア2勝した蟬川泰果(22)=東北福祉大=と2018年平昌五輪で日本女子スピードスケート史上初の金メダルを獲得し、昨年10月に引退した小平奈緒さん(36)の2人が受賞。蟬川は海外ツアーの関係で欠席し、同大ゴルフ部監督の阿部靖彦氏(60)が代理で出席した。

 恩師の一声が背中を押した。昨年9月にパナソニックオープンで男子ツアー史上6人目のアマ優勝を果たした蟬川。そして10月、日本オープンを制してツアー史上初のアマ2勝を飾ると、30歳まで国内を主戦場にして戦いたい意向を表明した。

 蟬川の代理で表彰式に出席した阿部監督は、その言葉を聞き、本人に自分の思いを伝えたことを明かした。「日本オープンで5年シードを取ったのなら、海外に行って2年くらいつぶれてもいいから学んでこい。お前が2年間日本のツアーに行かなくてもつぶれないから。得るものは大きい」-。

 今年1月、米ツアー3試合にスポット参戦した蟬川。だが予選通過がやっとと世界最高峰のレベルに苦しんだ。今後米国で戦うには広範囲な移動や時差への対応という問題ものしかかってくるが、「そういう生活に慣れなきゃいけない」と阿部監督。この過酷な環境こそ、世界で戦う上で経験してほしいものだという。

 大学の大先輩・松山も通ってきた道だ。松山は大学2年のアマチュア時代からマスターズ出場など、早い段階から海外挑戦に積極的だった。「松山にも言いましたけど、米ツアーに行ったら10年は帰ってくるなって」と当時を振り返る阿部監督。将来の日本を背負う若手のホープにも、若いうちから世界でもまれることで大先輩のように大きく成長することを願っている。

 蟬川の挑戦はまだ始まったばかり。世界の壁は分厚いが「いけるところまでガンガンいかないと。頑張ってほしいなと思います」。海を渡った若武者に、恩師から熱いエールが送られた。

 ◆蟬川 泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫県加東市出身。名前はタイガー・ウッズに由来し、おもちゃのクラブを持った1歳から競技に親しんだ。大阪・興国高から東北福祉大へ進学。22年9月の世界アマチュアチーム選手権個人2位に入り、パナソニックオープンで男子ツアー史上6人目のアマ優勝。10月に日本オープンを制し、ツアー史上初のアマ2勝を飾った。22年11月にプロ転向。175センチ、75キロ。

 ◆阿部 靖彦(あべ・やすひこ)1962年5月19日、秋田県大曲市出身。大曲農高では野球部に所属。東北福祉大では野球部の学生コーチを務めた。大学卒業後、89年に同大学のゴルフ部と軟式野球部監督に就任。数々のプロゴルファーを輩出し、主な教え子に池田勇太、松山英樹、蟬川泰果らがいる。

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