2勝で飛躍、柏原明日架が乗り越えたトラウマとは 19年女子ゴルフを振り返る

 身長171センチのスラリとしたスタイルを持つ美人プロゴルファー・柏原明日架(24)=富士通=は、プロ6年目となった昨年9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで初優勝を果たした。優勝記者会見では「18番で声援を受けながらリーダーズボードの一番上にある自分の名前を見るのが夢だった」と喜びをかみしめた。

 中3の日本女子アマチュア選手権で2位に入るなど将来を期待されながら、プロ入り後はなかなかスポットライトを浴びる機会がなかった。だが、長い間抱え込んでいたトラウマを克服したことで、ようやく初の美酒を味わうことができた。

 そのトラウマとは何か。それは実質プロ2年目のシーズンとなった16年日本女子オープン(石川県・片山津GC)へさかのぼる。2位に1打差をつけ、メジャー大会での初優勝を目前にして迎えた17番パー3はグリーン左に池が広がる。あろうことか第1打をその池に打ち込み、このホールはトリプルボギー。一瞬にして優勝争いから脱落し、結果は4位に終わった。

 その日から暗く長いトンネルに入り込んだ。片山津で池に打ち込んだ1打が頭から離れず、別のコースでも左に池があるショートホールに立つと、独特の緊張感と戦わなくてはならなくなり、パフォーマンスが低下した。

 だが、終わらないトンネルもなければ、明けない夜もない。ゴルフと真摯(しんし)に向き合う姿勢、バンカーショットでツアー随一の技術を誇る程の練習量、そして家族をはじめ周囲のサポート、さらに宮崎出身の大先輩・大山志保の「1勝目の早さじゃない。引退するとき何勝したかが大事」という励ましが、頑固なトラウマを切り崩す力をくれた。

 そして、ミヤギテレビ杯最終日の15番パー3。左に池があるレイアウトも優勝争いをしている状況設定もすべて“あの日”と同じだったが、第1打を冷静にピン筋に飛ばし、奥からのアプローチを寄せてパーセーブ。この瞬間、16年日本女子オープンから丸3年抱え込んだトラウマが消え、それまでのキリキリとした不安がうそのように笑い始めた。

 「あの1打をしっかり打てて、優勝を確信した。日本女子オープンではメンタルの弱さが出た。今日やっと吹っ切ることができた。ここまで本当に長かった」。この言葉には苦しかった時間を耐え抜き、克服した実感がこもっていた。

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