【舩越園子の目】池田勇太の気遣い

 「米男子ゴルフ・全米プロ選手権・第2日」(10日、ベルリーブCC=パー70)

 全米プロ2日目は雷雨中断後、再開できずに翌日へ持ち越し。そんな中、池田勇太の健闘が光った。今大会では「気持ちが前に出すぎないよう、いかに抑えていけるか」を心掛けているが、最近の池田は、それだけではなく、度胸と優しさを備えて成長しつつある。

 開幕前日。池田はハーフの練習ラウンド後、追加で3ホールを回ろうとしたが、コースは大渋滞。「あそこの組、3人かな?ご一緒していいか聞いてよ」と池田はフィジー人のキャディーに頼んだ。キャディーがタイミングを見計らっていたら、池田は通りかかった選手に自ら「3人?ジョインしていい?」と英語で頼み、すんなりジョイン。「人に頼んでおいて自分で聞くか?」とキャディーは呆れながら苦笑。

 だが、いざ試合が始まると、酷暑の中で池田は時折り、冷たい水で濡らしたタオルをクラブ拭きで忙しいキャディーの首筋にかけてあげていた。そんな気遣いがメジャーの試合中にできるのは、人間としての余裕が生まれつつあるからに違いない。

 3年前、最愛の祖父を亡くし、先週はジュニア時代の恩師を亡くしたが、悲しみではなく笑顔で「天国の2人にいいプレーを見せたい」。そんな池田の姿勢が、今大会の彼の好プレーを支えている。

(在米ゴルフジャーナリスト)

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