【舩越園子の目】キレなくなった岩田 今季初戦5位
「米男子ゴルフ・サンダーソンファームズ選手権・最終ラウンド」(30日、CCジャクソン=パー72)
昨季のフェデックスカップランクは146位。今季は準シードで挑む岩田寛が、自身の初戦でいきなり優勝争いに絡み、5位になった。
最終日。後半に重ねた3つのバーディーで「一瞬(首位に)並んだのかと思った。(優勝は)あるかなと思った」。初優勝に限りなく近づいたが、上がり4ホールはすべてティーショットが右に曲がり、パーどまり。優勝は逃したが、この日の岩田の何が素晴らしかったかと問われたら、私は迷うことなく「キレなかったこと」と答える。
昨季までの岩田はキレやすかった。スコアや結果ではなく、手ごたえに対して不満を感じるとキレていた。だが、この日は林に入ろうともラフに沈もうともキレず、諦めず、執拗にパーを拾った。
今までの岩田と何かが違う。異変をもたらしたものは松山英樹のバッグを担ぐ進藤大典キャディーから勧められたというメンタル本。「こっちに来る前に読んだら今週良かった」。
東北福祉大ゴルフ部で同級生の岩田のために本を勧めた進藤キャディーは心優しく、「それを買って読んだ」という岩田はとっても素直だ。ゴルフはメンタルなゲームだが、同時に、ネバーギブアップと優しさと素直さに助けられるゲームでもあるようだ。(在米ゴルフジャーナリスト)