熊本出身野口燃えた! 2位タイ発進

 「女子ゴルフ・フジサンケイレディース・第1日」(22日、川奈ホテルGC)

 地震で大きな被害を受けた熊本県出身の野口彩未(20)=フリー=が1イーグル、3バーディー、1ボギーの68で回り、首位と2打差の2位につけた。プロ3年目の新鋭が故郷への思いを胸に好スタートを切った。他の熊本勢も奮闘し、笠りつ子(28)が6アンダーの66で首位に立ち、上田桃子(29)も野口とともに2位につけた。

 開幕から全6試合に予選落ち。ベストスコアは73でアンダーパーさえ出したことがなかった無名の野口が、被災した故郷への思いも力に変えて好発進。6番で12メートルのバーディーパットを決めると、13番パー4では残り140ヤードの2打目を直接カップインしてイーグルを奪った。

 12番と16番のパー5でも第3打をピタリとピンそばにつけ、バーディーを上乗せ。2位発進「すごくうれしい。今日はいつもと違う力を感じました」と声を弾ませた。

 熊本市で母・恵美さん(41)と2人暮らし。自宅近くの駐車場で14日の地震に見舞われ、16日未明の本震も「ベッドの中。体が震えた」という。母を心配し、今大会には出場する気はなかったが、今も駐車場の車で避難生活を送る母から「あなたはプロゴルファーなんだから、ゴルフが仕事。責任持って仕事に行きなさい」と諭され、後ろ髪を引かれながらも熊本を後にした。

 テレビのニュースを見ていると、母校の熊本国府高が目に飛び込んできた。「パイプ椅子を並べて『カミパン、水、SOS』って。胸が締めつけられた。自分には何もできないけど、やっぱりゴルフで頑張るしかないって思った」。熱い思いが体を巡った。

 「高麗グリーンには苦手意識があるけど、それは考えず、まずは予選通過したい。今日と同じように集中していければ、明日もアンダーで回れると思う」。24日は母の42回目の誕生日。余震が収まる気配はなく、厳しい状況が続いているからこそ、最高の誕生日プレゼントを贈りたい。

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