手嶋、中嶋以来29年ぶりホストV

 「ミズノオープン・最終日」(31日、JFE瀬戸内海GC=パー72)

 首位で出た手嶋多一(46)=ミズノ=が5バーディー、2ボギーの69で回り、通算15アンダーで今季初優勝。昨年の日本プロ選手権日清カップ以来のツアー8勝目を挙げた。今大会の上位4人までに与えられる全英オープン(7月16日開幕、セントアンドルーズ)の出場権は手嶋、通算13アンダーで2位のスコット・ストレンジ、通算11アンダーで3位の高山忠洋と富村真治が獲得した。

 最終18番で50センチのウイニングパットを沈めると、手嶋は右手に握ったパターを力強く掲げた。ベテランらしい冷静なプレーで逃げ切りV。「疲れました。最後の4ホールは意識がなかった。今日はツキもありました」と目尻を下げた。

 所属は93年プロ転向時からミズノ一筋。今大会は94年から出場し続け、ようやく86年の中嶋常幸以来29年ぶりとなるホストVを成し遂げた。しかもミズノ製のボールによる記念すべきツアー初優勝。「ミズノは僕を育ててくれた会社。ちょっと恩を返せたような気がします」。ホールアウト後はチームミズノの面々にミネラル水をかけられ、うれしそうに逃げまくった。

 10月で47歳になるが、プレーヤーとしての輝きは増すばかりだ。もともと天才肌のプレーヤー。あえてボールを打つ練習をしないという調整法を貫き、結果を残し続けている。

 「完璧主義なのでボールを打つと迷いが増え、コースをどう攻めるという部分がなくなり、スイングのメカニカルな方にばかりいってしまう。今はボールを打たないことに違和感はないです」

 全英オープンは01、02年に出場し、ともに予選落ち。07年には欧州ツアーに参戦したが、今回の会場となる聖地セントアンドルーズではプレーしたことがない。この日は胸に今年の全英オープンのマークが入ったウエアでプレー。「今年は聖地だから行ってみたかったので、着た方がいいと思った。全英で暴れてきます」。柔和な目が闘志で輝いた。

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