FB山中 平尾さんに恩返し星だ 「平尾さんがいなければ今の僕もいない」

 平尾誠二さんとの思い出を語る山中亮平
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 「ラグビーW杯・準々決勝、日本-南アフリカ」(20日、味の素スタジアム)

 天国から、声が聞こえた。ラグビー日本代表は16日、都内で2部練習を行った。史上初の8強進出を果たして迎える20日の南アフリカ戦(味スタ)は、16年に胆管細胞がんで亡くなった元日本代表監督、平尾誠二さん(享年53)の命日。神戸製鋼で指導を受けたFB山中亮平(31)=神戸製鋼=は「『思い切って楽しんでやるだけだ』と言ってくれると思う」と話し、そのプレーを師に捧げる。日本代表で監督と選手の関係だった長谷川慎スクラムコーチは「恩返ししたい」と勝利を天に届ける思いだ。

 特別な日。特別な思いがあった。「平尾さんの命日っていうことで、すごく、僕にとっても、すごい日に試合があるっていう…。大事な試合だなと思う」。どことなく神妙な面持ち。山中はぽつりぽつりと話した。

 11年4月だった。W杯代表候補合宿中に行われた薬物検査で山中は陽性反応を示した。ヒゲを伸ばそうと塗った育毛剤に禁止薬物が入っていたため。W杯候補から急転、2年間の出場停止処分。一時、ラグビー部を退部し、神戸製鋼社員として働く日々があった。

 助けになったのが当時神戸製鋼GM兼総監督の平尾さんだった。平尾さん自身もファッション誌のモデルを務めたことが当時のアマチュア規定に抵触し、大学卒業後に資格停止処分を受けた過去があった。ことあるごとに、同じ境遇を経験した平尾さんから励ましを受けて、耐えてきた。

 「ラグビーを続けるにあたって、平尾さんがいなければ今の僕もいない。感謝の気持ちでいっぱいです」。山中は視線を遠くに向けた。

 長谷川コーチは97年に日本代表初キャップを飾る。当時の代表監督が平尾さんだった。

 「平尾さんの話になるとちょっと、感傷的になってしまうんですけど、私を日本代表に選んでくれたのも、試合に出してくれたのも平尾さんだった」

 99年W杯。開幕戦前日に部屋に手紙があったという。平尾さんとの一番の思い出として「励みになるようなことが書いてあった。この人のために頑張らないと、日本のラグビーのために頑張らないとという思いになった」と明かした。

 長谷川コーチは「しっかり恩返しができるようにしたい」。山中は「『ここまでよく頑張ったな。(南アフリカ戦は)もう思い切って楽しんでやるだけだ』と言ってくれると思う。しっかりチャレンジしたい」。天の声を聞いた。その返事を天に届ける熱い戦いだ。

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