【伊藤鐘史が斬る】効いたポゼッション ラスト20分は魂のディフェンス

 「ラグビーW杯・1次リーグA組、日本19-12アイルランド」(28日、静岡スタジアム)

 ジョセフJAPANが奇跡を起こした。A組で世界ランキング9位の日本は同2位の強豪アイルランドに19-12で逆転勝ちし、2連勝で初の決勝トーナメント進出に近づいた。日本は前回大会で優勝2度の南アフリカを破っており、2大会連続で金星を挙げた。

  ◇  ◇

 大きく言えば60分間のアタックと、残り20分のディフェンスで勝ったイメージです。もちろん、前半にキックパスからトライを許し、アイルランドの時間はありました。しかし、日本のお家芸であるボールを保持し続けるポゼッションラグビーが効いていました。

 ボールを保持して、相手が疲れるまでプレーしていました。ヨーロッパのチームは、こういうラグビーに慣れていません。キックの多いジャパンと見せて、軸はポゼッションラグビー。これは日本のラグビーの文化になります。

 いつもより相手を含めてキックが少なかったのですが、それは蹴らせない状況を作ったからです。そういう意味でも、うまくボールを保持していました。

 ディフェンスで迷わせたし、日本は一歩先をいっていました。ジャブのように効き、アイルランドはラスト20分で焦りが出て、アタックも単調になりました。日本からすればランナーがまる分かりで、的を絞りやすくなり、思うツボでした。

 FWのモールディフェンスも完璧でした。前半、外側に回させないようにマフィがくさびを打っていました。前半の頑張りが勝利へとつながったのです。ラスト20分のディフェンスは魂以外の何物でもありません。

 あくまで目標はベスト8。大きな前進ですが、W杯は甘くありません。まだ2試合が終わっただけ、と考えた方がいいです。1試合で一気に変わることはあり得ますから。

 前回の南アフリカ戦では勝った高揚感などから、次のスコットランド戦への準備ができていませんでした。間隔が中3日だったこともあり、なかなか難しいところもありました。

 今回、試合後の様子をみて、前回のメンバーは割と落ち着いていました。サモア戦までは1週間あります。同じ失敗は繰り返さないでしょう。(2015年W杯日本代表ロック。現京産大コーチ)

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