神戸の注目ネイリスト 筋トレで育む匠の技
爪を飾り、人生に彩りを与える。小さな空間に繊細に描かれたイラストは今にも動き出しそうなほどだ。神戸・三宮でネイルサロン「METORO NAIL」を営む高木政志さん。筋トレがその高い技術力を支える一助となっている。
島根県出身で美術の専門学校を卒業後に地元の農協に入社。学生時代から美術部に所属していたこともあり、就職後もアートへの好奇心は抑えられなかった。親の反対を押し切って体一つで大阪に上陸。「ネイルの勉強がしてみたかった。とりあえず出てきました」と勢いそのままに地元を飛び出した。
上阪当初は住む場所もない状態。弟の家や知人の家を転々としながら、専門学校に入学してネイリストとしての道を切り開いていった。貯金が底をついたこともあったが、ネイルへの熱い気持ちは冷めず。サロンで働いた後、「もしダメだったら島根でやり直そう」と覚悟を決めて一念発起し、2018年に神戸で独立を果たした。
勢いで地元を飛び出したその行動力が、今を支える筋トレとの出会いもたぐり寄せた。独立してしばらくたち、30歳を手前に向かえた頃。ネイル講師としても人前に立つ機会が多くなっていた中で自身の体型にも気を使うようになった。トップボディビルダーも愛用する「ゴールドジム」に入会。「行ってみたら体が大きい人が一杯いて」とトレーニング初心者ながらにたじろいだものの、周囲の人の見よう見まねでダンベルと向き合った。週3日以上で通い詰め、周囲の屈強なトレーニーにも教わりながらみるみる上達。「扱う重量が伸びていくのが楽しかった」と筋トレのとりことなった。
コロナ禍に見舞われたことで一度トレーニングから遠ざかったが、今年9月から週1度のパーソナルトレーニングで再開。繊細な技術や発想力が必要となるアートの世界で戦う中「筋トレがストレス発散となっている。今はトレーニングが楽しみです」と息抜きとしても活用し、仕事のパフォーマンスにつなげているという。
筋トレで得た活力を糧にネイリストとして一流の道を歩む高木さん。現在は持ち前の画力を生かし精巧にアニメキャラクターを描くネイルで多くのファンを魅了。アートジェルやネイル用の筆も自身でプロデュースするなど多岐にわたって活躍の場を広げている。「面白そうだったら飛びつく。ダメだったらやめればいい」。飽くなき探究心を原動力にネイリストとして新たな世界を切り開いていく。
【METORO NAIL】兵庫県神戸市中央区三宮町2丁目2-3 扇陽三宮ビル405
TEL 078-381-9238
