熊本出身・義ノ富士「お待たせしました」ようやく初日 霧島相手に逆転の投げ!被災地に白星届けた「ここから勝ち越したい」
「大相撲秋場所・6日目」(18日、両国国技館)
義ノ富士が長いトンネルを抜けた。若手ホープは自己ワースト5連敗中だったが、大関霧島に上手投げを決め、初日を出した。7月28日に発生した熊本地震は帰省中で被災も、故郷の激励に応えた。霧島は綱とりへ痛恨2敗目。横綱大の里は豪ノ山を引き落とし、大関琴桜は隆の勝を突き出して1敗を死守。安青錦は関脇藤ノ川に寄り切られ3連敗。大関を狙う関脇熱海富士は琴勝峰を押し出し、5勝目を挙げた。1敗は7人。
支度部屋で風呂から出た義ノ富士は「お待たせしました」と言った。自身初の5連敗。中学横綱、日大で学生横綱に輝いたエリートは「アマではトーナメント1回戦で負けても、のほほんとしていた」と振り返り、「メンタルにきた。長かった。時間が早く過ぎる」と暗闇の印象を語った。
劣勢だった。霧島得意の左四つに組み止められ、土俵際に寄られたが右上手を頼りに残った。再び寄られたところで、逆転の上手投げを決めた。「あの体勢から前に出るのはキツイ。あれしかない。思いきりいった」。その覚悟が奏功した。
7月28日の熊本地震。名古屋場所後の休みに宇土市に帰省していた。友人と屋内施設にいる時、大きな揺れを感じた。天板、照明器具が落ちてきた。「死ぬかと思った」。道路が混み、普段の3倍を要して実家に戻った。ガラス、少年時代の相撲トロフィーが散乱。「風呂もトイレもダメになった」。実家をあきらめ、知人の家などを渡り歩いた。父親が経営する焼き肉店で砕けたガラス、食器の片付けを手伝い、夏巡業に合流した。
連敗中は熊本からも多くの激励が届いた。「毎日負けているのに。久々に連絡をくれる人もいた」。部屋の関取衆からは前日、験直しに誘われた。5日目に敗れた尊富士、錦富士らと焼き肉店で食事し、「頑張ろう」と誓い合った。
実家は全壊判定を受けた。ただ、家族や知人は皆無事だった。家は建て直せばいい。今場所もまだ前半だ。「自分を信じて諦めない。負け越したわけではない。ここから勝ち越したい」。普段通り明るい表情で、前を向いた。
