元小結遠藤・北陣親方 引退会見「悔いは一切ない」 大相撲人気回復に貢献、今後は「たくさん応援していただける力士を」

 1日に現役引退が発表された大相撲の元小結遠藤の北陣親方(35)=本名遠藤聖大=が9日、福岡市内のホテルで記者会見した。度重なるケガに苦しみながら真っ向勝負を貫き、晴れやかな表情で「本当に幸せな相撲人生」「悔いは一切ない」と、約12年半の現役生活を振り返り、感謝を口にした。低迷する大相撲人気回復に貢献。今後は追手風部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたる。

 充実感でいっぱいだった。北陣親方は晴れやかな表情で「幸せな現役の相撲人生だった。悔いは一切ない。本当にいっぱいいっぱいやりました」と胸を張った。

 9勝6敗と勝ち越した夏場所を最後に、両膝を順に手術して2場所連続休場。思い出の一番はその千秋楽、朝紅龍戦での白星を挙げた。「毎日、今日が最後だ、と思って土俵に上がっていた。千秋楽ということもあって、これがもしかしたら…と思っていた」。ギリギリの戦いを貫いた12年半だった。

 2015年春場所5日目の松鳳山戦で左膝前十字靱帯断裂など大ケガを負った。日大時代に右膝も大ケガしていた。長期休場につながる手術を受けず、土俵に上がり続けた。

 手術を受け、万全を目指した方が良かったのでは、という声は今も残る。それでも「自分で決断して道を選んできた。その道から逃げないよう、覚悟を持ってきた」とキッパリ。この日「もう一度やり直すなら…」という質問を受けると「よく聞かれますけれど」と前置きした上で「やり直すことはない。今までが、そして今が本当に幸せです」とぶれなかった。

 アマチュア横綱など輝かしい実績を引っ提げ、幕下10枚目格付け出しで初土俵。所要3場所のスピード昇進記録で新入幕を果たし、ざんばら髪で躍動する姿が、不祥事などで低迷していた大相撲人気を救う注目を集めた。

 ケガの影響で最高位は小結にとどまるも「精神的に鍛えられたし、気付くことも多かった。良くも悪くもケガがあったから成長できた」と潔かった。今夏に限界だったという両膝の手術を受け、復帰を目指すも引退に傾いた。

 今後は親方として後進を指導する。「もちろん強いお相撲さんを育てていきたいという気持ちもあるが、たくさんの方に応援していただける力士を育てたい」と意欲を語り、両膝に「もっともっと働いてもらおうかな」と視線を向けた。

 会見後は協会ジャンパー姿で、西の花道で警備の仕事を務めた。1男1女の父でもある。引退後にやりたいことを問われ「子供と走り回りたいですね。走ることも、本場所で勝つためにしなかったので」と穏やかに語った。

 ◆北陣聖大(きたじん・しょうた)元小結遠藤。本名・遠藤聖大。1990年10月19日、石川県穴水町出身。日大でアマチュア横綱に輝き、13年春場所で幕下10枚目格付け出しで初土俵。関取となった同年名古屋場所は14勝1敗で新十両優勝を果たし、翌秋場所で史上最速となる所要3場所で新入幕。18年夏場所で新三役。三賞6回、金星7個。幕内成績480勝482敗73休。通算75場所で幕内69場所、十両4場所。19年に結婚し、家族は妻と1男1女。

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