村竹ラシッド号泣 決勝進出もメダル届かず5位 涙止まらず「何が足りなかったんだろう」「この脚が許す限りメダルを」
「陸上・世界選手権・男子110メートル障害決勝」(16日、国立競技場)
男子110メートル障害決勝で昨夏のパリ五輪5位の村竹ラシッド(23)=JAL=は13秒18の5位で、メダル獲得はならなかった。同日の準決勝で村竹は13秒17の3組2着で決勝に進み、野本周成(愛媛競技力本部)と、予選落ちから繰り上がった泉谷駿介(住友電工)は決勝を逃した。男子400メートル準決勝は中島佑気ジョセフ(23)=富士通=が44秒53の3組2着で18日の決勝に進んだ。男子走り高跳び決勝は赤松諒一(30)=西武プリンス=が2メートル24で、前回大会と同じ8位で入賞した。
電光掲示板を確認した瞬間、トラックに大の字に寝転がり両手で顔を覆った。村竹が13秒18の5位入賞。思わず涙があふれ出す。同じ5位入賞だったパリ五輪から1年。メダルを視界に捉えていただけに、尋常ではない悔しさが重くのしかかった。
「本当にメダルを取ってやるんだと練習を積み重ねてきた。メダルを取る根拠を積み上げてきたつもりだったけど、何が足りなかったんだろうって」
世界のトップ選手に堂々と勝負を挑んだ。「感覚は悪くなかった」と、好スタート。そのまま終盤までメダル争いに加わった。しかし、最後は米国勢、ジャマイカ勢が前へ。無念の結果を受け止め、「とにかく悔しい」と繰り返した。
この日に行われた準決勝では少し出遅れたものの、ぐんぐんと加速。中盤以降は先頭争いに加わり、力強くハードルを飛び越えていった。最後は横一線の戦いだったが、2着でフィニッシュ。“マッチョポーズ”を決め、笑みがはじけた。
同じ国立競技場で行われた21年の東京五輪には出場がかなわなかった。雪辱を期してから4年。「こんなに1つのことに打ち込めたことはない。アスリートとしても、1人の人間としても成長できたような気がする」。たどりついた東京の舞台では「知り合いが盛り上げてくれていた」と、大歓声を聞くことで、進歩も実感した。
笑って締めくくりたかったが、悔し涙で幕を閉じた。それでも「今日の結果も踏まえて自分の実力だと認めることから始めないといけない。何年かかっても、この脚が許す限りメダルを目指し続けたい」。村竹の物語はまだまだ終わらない。
◆村竹ラシッド(むらたけ・らしっど)2002年2月6日生まれ。千葉県松戸市出身。父はトーゴ人。小学5年から陸上を始め、松戸国際高を経て順大卒。24年パリ五輪では110メートル障害で日本人初の決勝進出を果たし、5位入賞。今年5月のアジア選手権では金メダルを獲得した。同8月のナイトゲームズ・イン福井で12秒92の日本新記録樹立。179センチ、76キロ。




