ノルディック複合 海外選手ドーピング日本4位から銅メダル繰り上がり 6年越し勲章に選手困惑 渡部善「あの時の試合どうだったっけ?」19年世界選手権

 全日本スキー連盟(SAJ)は29日、2019年世界選手権のノルディック複合ノーマルヒル団体で、4位だった日本が銅メダルに繰り上がったことを受け、都内でメダル授与式を行った。3位だったオーストリア選手1人のドーピング違反が認定され、チームが失格となったため。日本は渡部暁斗、渡部善斗(ともに北野建設)、永井秀昭、山元豪の4人で臨んでいた。

 この日は渡部善、22年北京五輪後に引退した永井さんが出席。6年越しのメダルを手にし、渡部善は「正直あの時の試合どうだったっけ?という会話からさっき始まった」と喜びと困惑が混ざった複雑な表情を浮かべつつ、「アスリートとしてはドーピング違反で結果が変わってしまうのは本意ではないが、一緒にチームとして頑張ったことに形がついたことはうれしい」と受け止めた。永井さんも「引退して世界選手権のメダルは手にすることはないなと、思ったところに棚からぼた餅ではないけど、初のメダルが手に入った。本意ではない気持ちもありながら、素直に喜びを受け止めている」と笑顔を見せた。

 6年もの時間がかかった理由については、登壇した国際スキー・スノーボード連盟のラッセ・オッテセン氏が説明。「はじめにオーストリアのアンチドーピング機関で違反の判決が出て、オーストリアのチームが2回抗議した。その後にCAS(スポーツ仲裁裁判所)に話が上がってきたが、そこまでに2年を要している。CASの中でも(判決に)時間を要し、これだけの期間が発生した」と解説した。

 この6年間、選手らの間で順位の繰り上がりがうわさされることはなく、メダル獲得を知ったのは、国際スキー・スノーボード連盟から発表があった1カ月前だという。渡部善は「ヤフーニュースで知りました。知り合いから送られてきた」と頭をかき、永井さんも「地元の新聞社の記者から『コメントください』と連絡がきて、何のコメントですか?ってところから知りました」と笑いながら明かした。

 思いがけない勲章を手に、渡部善はミラノ・コルティナ五輪で自身4度目の出場を狙う。兄の暁斗は同五輪を集大成と位置づけており、兄弟で臨む最後の大舞台となる。渡部善は「なにを注視していくかを考える(段階)は終わっている。そこに向けてたたき込むだけ。悔いが残らないように全力で調整していきたい」と気持ちを込めた。

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