フェンシング 江村美咲の新境地 “脱・完璧主義”で史上初の世界選手権3連覇狙う「もう自分は好きなことやるんだ!(笑)」
フェンシングの世界選手権(22日開幕、ジョージア)に臨む日本代表が2日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで合宿を公開した。昨夏のパリ五輪で旗手を務め、世界選手権女子サーブル個人2連覇中の江村美咲(立飛ホールディングス)は、“脱・完璧主義”で史上初の3連覇を狙う。
これまで、起床時間と就寝時間の設定、練習ノートの記入、動体視力を鍛えるビジョントレーニング実施など毎日ノルマをこなして過ごしていた。ただ団体で銅メダルを獲得したパリ五輪以降は、注目度が上がり環境が一変。多忙な生活と日々の“縛り”でモチベーション維持に苦しんだため、勇気を出して日々のルーティンをやめた。
「フェンシングがやりたくないって思っちゃって。そんなルールを守ってやってるからだと思って、もう自分は好きなことやるんだ!と思ったら結構いけた(笑)。日々性格が変わっている実感もあるし、自分にも寛容になれた」
気持ちの余裕は競技にも好影響。これまでリスクと捉えていた試合開始すぐの積極的な攻め、ピスト(競技コート)での動きの制限をなくしたことで、また新たな伸びしろが見えてきた。
「フェンシングを戦う中でもルールがいっぱいあったけど、全部を辞めたら意外とやりたいようにできている。ルールを作る前に好きなようにやっていた自分と、ルールで成長したあとに好きなことをやっている自分で、同じことをしていても質やバリエーションが違う。戦い方の引き出しが増えた」。
6月に行われたアジア選手権では個人と団体で金メダルを獲得。「完璧を求めすぎずにいけるとこまで行ってみようという気持ちでやったら優勝できた」と気持ちの変化は結果に表れてきている。
同種目史上初の3連覇がかかる世界選手権も“自然体”がキーワードだ。「優勝のための完璧なパフォーマンスよりかは、とにかくいけるところまで下から上がっていこうという感覚」。新たな境地を開いた江村が、3度目の世界一を狙う。





