柔道引退ウルフ・アロン プロレスラーに電撃転向「新たな挑戦に喜び」 新日本に入団発表 柔道の五輪金メダリスト初の転身 異例の1・4東京ドームでデビュー

 現役を引退した柔道男子100キロ級で21年東京五輪金メダリストのウルフ・アロン(29)が23日、都内で記者会見を行い、新日本プロレスに入団し、プロレスラーに転向することを電撃発表した。柔道の日本代表出身者では元全日本王者の坂口征二、バルセロナ五輪男子95キロ超級銀メダルの小川直也らがプロレスラーとして活躍しているが、日本代表の五輪金メダリストとしては初の転身となる。

 ひげを蓄え、オールバック姿で棚橋弘至社長とともに会見に臨んだウルフは「また新たな舞台でチャレンジできることに喜びを感じています。私の方から新日本に入りたいとお伝えさせていただきました」と、明かした。

 棚橋社長は「本日を持って新日本プロレスと契約し、入団することになりました。日本の金メダリストでは初となります。本人から強い希望をいただきました。業界を担う選手になっていただけると期待しています。練習を積んでもらった上で、プロレス界でもっとも注目度が高く、私が引退する大会でもある来年1・4東京ドーム大会でデビューしてもらおうと思います」と期待を込めた。

 柔道選手としては今月8日の全日本実業団体対抗大会が最後の試合となり、10日に開いた引退会見では「悔いは全くない。去年のパリ五輪が終わった段階で燃え尽き、やり切った。柔道は人生そのものだった」と報告。今月13~20日にブダペストで開催された柔道の世界選手権に配慮する形で新たな進路については後日発表する意向を示していたが、今後について「人に対して自分を見せること、(人に)見られることが好きなので、そういうことも(進路の)選択肢。今のところ指導者になるつもりはない。まだ自分自身が表に立ちたい気持ちが強い。バックボーンとして柔道はこれから先もある」と、話していた。

 ウルフは小学1年から東京・講道館の春日クラブで柔道を始め、世界選手権、全日本選手権、五輪を制し、史上8人目となる「柔道3冠」を達成。また、親しみやすいキャラクターで多数のメディアにも出演するなど人気者となり、YouTubeのチャンネルでは22日現在で約12万人の登録者を誇る。

 ◆プロレスに転向した主な柔道の五輪出場者 1992年バルセロナ五輪銀メダルの小川直也は、96年アトランタ五輪の翌年にプロレス転向。UFO所属として新日本の橋本真也と抗争を繰り広げ、後にハッスルなどでも人気を博した。海外では64年東京五輪金メダルのアントン・ヘーシンク(オランダ)、72年ミュンヘン五輪2冠のウィリエム・ルスカ(オランダ)らがプロレスラーに転身している。また、92年バルセロナ五輪金メダルの吉田秀彦、2000年シドニー五輪金メダルの滝本誠、04年アテネ&08年北京五輪2連覇の内柴正人、08年北京五輪金メダルの石井慧、04年アテネ五輪銀メダルの泉浩らは格闘家としてデビューしている。

 ◆ウルフ・アロン 1996年2月25日、東京都葛飾区出身。米国人の父と日本人の母を持ち、6歳で東京・講道館の春日柔道クラブで柔道を始めた。東海大浦安高時代は団体で高校3冠を達成。東海大4年の2017年世界選手権で初優勝し、19年に体重無差別の全日本選手権を初制覇、21年夏の東京五輪で男子100キロ級では21年ぶりの金メダルを獲得し、史上8人目の「柔道3冠」を達成。24年パリ五輪に出場し、7位。得意技は大内刈り。181センチ。

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