「大相撲夏場所・１２日目」（２２日、両国国技館）

　綱とりの大関大の里は伯桜鵬をはたき込み、自己新記録となる初日から１２連勝。横綱豊昇龍は関脇霧島に上手投げで不覚を取り、３敗に後退した。大の里は賜杯争いで３差をつけ、きょう大関琴桜を下せば４度目の優勝が決まる。大鵬、輪島、羽黒山、照国らの記録を上回る最速昇進へ王手をかけた。

　ライバルはいない。１３日目にも優勝が決まる。昨年秋場所を更新する自己新の無傷１２連勝。大の里は「まだ終わっていない。また明日からしっかり集中して頑張ります」と表情を崩さず言った。後続に３差をつける独走に「自分のことだけを考えて、明日以降も頑張ります」と話した。

　相手は初対戦の伯桜鵬。アマ時代の２０２１年、全日本選手権準々決勝で日体大の中村泰輝（大の里）が高校横綱の落合哲也（鳥取城北＝伯桜鵬）を下している。成長著しい２１歳の鋭い立ち合いを受け止め、するりと右に開いてはたき込んだ。

　大の里は「落ち着いて取れた。集中して相手が見えていた」と冷静に振り返った。八角理事長（元横綱北勝海）を「立ち合いで思い切り踏み込んで、突っ張ろうとした。だから伯桜鵬は引きを食った。強い勝ち方をしている」とうならせた。

　１３日目から故郷の石川・津幡町では、優勝が決まるまでパブリックビューイングを実施。４月の津幡巡業では「疲れが吹っ飛ぶぐらい歓声をいただいたんで、また頑張ろうという気持ちになりました」と感激しただけに、大きな後押しとなる。

　所要１３場所で横綱昇進となれば、昭和以降では羽黒山、照国の１６場所を抜き、年６場所制となった５８年以降では輪島の同２１場所を上回る。新入幕から所要９場所は大鵬の同１１場所を更新する。綱とり場所で１３日目に優勝を決めれば初となる。最速記録ラッシュを確実にする優勝は目前。琴桜戦に向け「やるべきことをやっていく」と気を引き締めた。