北勝富士が現役引退「いい相撲人生だった」年寄・大山襲名「(北の富士さんも)天国でこれからだぞと」
元小結の北勝富士(32)=八角=が大相撲夏場所5日目の15日、引退を発表し、両国国技館内で会見を開いた。10歳からまわしを締め、2015年春場所で初土俵を踏んだ約23年の相撲生活を振り返り「いい相撲人生だった」と実感を込めた。同日に日本相撲協会は年寄・大山襲名を承認。今後は後進育成に励む。
北勝富士は、昨年の九州場所後に右膝膝蓋(しつがい)骨脱臼の手術を受け、今年の初場所を全休。春場所で復帰したが3勝12敗と負け越し、西幕下三枚目で迎えた今場所は、初日から休場していた。
引退の理由は首や膝のけがで、納得する相撲が取れなくなったこと。「もやもやが1年以上続いていた。そんな気持ちで土俵に上がるのは失礼だと思った」と決断した。師匠の八角理事長(元横綱北勝海)は「よくやり切った。言ったことをやってくれたし、周りにも良い影響を与えていた」と賛辞を贈り、「けがした分、いい親方になってくれるんじゃないか」と期待を寄せた。
八角理事長と北の富士さん、2人の横綱のしこ名をもらった北勝富士。顔や体を激しくたたいて気合を入れる取組前の鬼気迫ったルーティンと、頭から強く当たる豪快な取り口で土俵を沸かせた。宮城野親方(元横綱白鵬)から取ったものを含め金星は7個、2023年名古屋場所では優勝決定戦にまで絡んだ。
今後は後輩の指導にあたっていく。「(北の富士さんも)天国で『これからだぞ』と言ってくれていると思う。もっともっと頑張りたい。勝っても負けても礼儀ができる立派な力士を育てていきたい」と意欲を燃やした。





