元幕内の天空海が弓取りデビュー「久しぶりに感動しました。空気が止まった」異例の挑戦
「大相撲夏場所・初日」(11日、両国国技館)
西幕下筆頭の天空海(34)=立浪=が弓取りデビューを果たした。十両時代に弓取りを始め入幕した大田山、幕内で弓取りを務めた大岩山の例はあるが、元幕内経験者としてデビューするのは初めてのケースだ。
横綱豊昇龍が若隆景を押し出した直後、185センチ172キロの新米弓取りが登場した。ゆっくりと大きく、ていねいな所作で堂々と務めきった。「久しぶりに感動しました。空気が止まった」と興奮を隠さなかった。弓を振り回す際の歓声、四股を踏む際の一瞬の静寂への反応がたまらなかった。
弓取り力士は均整が取れた体躯の小兵が務める印象が強いが、天空海はあんこ型。「丁寧に、そして力強くやりたかった」と狙いを明かした。豊昇龍が昇進した今年2月から弓取りの練習を開始。綱打ちの日に師匠の立浪親方(元小結旭豊)に打診され即応じた。「たまたま横綱が誕生して、親方に言ってもらったおかげ」と感謝している。
4月の春巡業では弓取り式に度々登場。群馬巡業で「聡ノ富士さんに教えてもらったのが大きかった」と語る。日馬富士と照ノ富士の横綱時代に弓取りを務め、キレのある動きで注目された伊勢ケ浜部屋力士の名を挙げた。
巡業では初っ切りを務めたことがあり「相撲甚句をやれば制覇かな」と笑顔を見せる。現在は横綱の付け人を務めており、さらに2018年初場所で豊昇龍が新序出世で臨んだ際の化粧まわしは天空海のものだった。
西前頭筆頭で臨む今場所。勝ち越せば再十両が濃厚。初日の取組では欧昇竜(鳴戸)をはたき込み白星発進を決めた。「よく見えていたし、動けていた」と納得の表情を浮かべ、「あと3番。早く上がって、できれば十両でもやりたい」と、関取になっても弓取りを続けることに意欲を示した。
弓取りは基本的に横綱がいる部屋又は一門の力士から選出されるケースが多い。天空海はアクシデントがなければ、千秋楽まで弓取りを務める予定だ。





