羽生結弦さん「五輪かなというぐらい緊張」 野村萬斎と「SEIMEI」で新次元コラボ「常に背後から威厳」 萬斎は絶賛「頼もしく成長。うれしく思う」
フィギュアスケート男子で五輪2連覇を達成した仙台市出身のプロスケーター、羽生結弦さん(30)が座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」が7日、宮城県利府町のセキスイハイムスーパーアリーナで開幕した。自身も被災した東日本大震災から11日で14年を迎える中、狂言師の野村萬斎(58)との共演で伝説的プログラム「SEIMEI」を演じ、生まれ故郷に鎮魂の願いを込めて舞った。同アイスショーは3年連続の開催。公演は9日まで行われる。
羽生結弦の伝説のプログラムが狂言との融合で新たな次元へと昇華した。震災当時、遺体安置所でもあった会場。野村萬斎演じる安倍晴明が、「天・地・人」の言葉とともに、式神として羽生結弦を召喚。晴明と式神が躍動的な演武を繰り出しながら、氷上に五芒星を完成させ、魂を鎮めた。
五輪連覇を成し遂げた18年平昌五輪のフリー演目「SEIMEI」。今から10年前にプログラムを作り上げる際に、映画「陰陽師」で安倍晴明を演じた狂言師、野村萬斎と対談する機会があり、助言を受けていた。
10年の時を経て実現した異例のコラボレーション。羽生さんは「とにかく緊張がすごかったです。やっぱりSEIMEIに関しては特に何か威厳のようなものを常に背後から感じながら、決してミスをすることができないというプレッシャーとともに、本当にオリンピックかなと思うぐらい緊張しながら滑りました」と振り返りつつ「いろんな経験を積んできて、やはりプロとしていろんな活動をしてきたからこそ、頑張って同じ土俵にたって、同じ目線、同じ高さの目線からものを言えるように、しっかり気を張って、プロのスケーターとしてぶつかっていけるように、と心掛けながら打ち合わせなどもさせていただきました。特に僕自身でいうと、このプロの世界、表現の世界というものにしっかり足を踏み入れてからは、本当に若輩者でしかないと思っていて、日本の伝統芸能というものを脈々と引き継がれている方、芸能の中でも特に秀でていらっしゃる方と、コラボレーションするということは恐れ多いということと、自分自身がそこに対して、ふさわしいスケートを、プロとしての芸術を持ち合わせないといけないなと。とてもとても強く感じながらリハーサルからこなしていました。今日の出来はとりあえず50点ぐらいかな。本当に緊張しました」と明かした。
萬斎は「彼の金字塔というべきメダルをとった曲。そういう大切な曲に関わらせてもらって、光栄に思います」と笑顔で明かし、表現者としての羽生さんについて「頼もしく成長されている姿、うれしく思う。僕自身も日本の伝統文化を背負って生きているつもりです。彼の場合も、彼なりの非常に大きなものを背負っている。そういう意味で公人というか、単なる個人の活動という枠を超えているのが素晴らしいなと。彼のスケートに止まらない意志、発想、行動、そういうものが凝縮された素晴らしいショー。職業・羽生結弦はますますもっとなにか彼のできることを成し遂げていくんだろうなと思う」と、目を細めた。





