福原愛さんの視点 年下に対しても挑戦者のように思い切って戦っていた早田選手 最後まで攻めの姿勢を崩さなかった

 張本美和(右奥)からポイントを奪い笑顔の早田ひな(撮影・金田祐二)
 女子シングルス決勝で、張本美和(手前)を破り笑顔でガッツポーズする早田ひな(右)
 3連覇を達成し喜ぶ早田ひな(撮影・金田祐二)
3枚

 「卓球・全日本選手権」(26日、東京体育館)

 決勝を行い、女子はパリ五輪銅メダリストの早田ひな(日本生命)が、張本美和(木下グループ)を4-0で退け、3年連続4度目の優勝を果たした。男子は17歳の松島輝空(木下グループ)が篠塚大登(愛知工大)を4-1で破り、初優勝した。2012年、13年全日本選手権女子シングルス覇者で、2012年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪団体メダリストの福原愛さんが、前回と同じ顔合わせとなった女子決勝を分析した。

 ◇   ◇   ◇

 女子の決勝は、一方的な展開に驚きました。早田選手は、8歳年下の張本選手に対しても挑戦者のように思い切って戦っていました。最後まで攻めの姿勢を崩さなかったことが、4-0という結果につながったと思います。

 積極的に両ハンドを攻撃していましたし、要所要所でうまく回り込みを入れたりして、相手に戦術を立てづらくさせていました。ケガを抱えながらでしたが、逆に思い切ってプレーできているのかなと感じました。前回と決勝は同じ顔合わせだったので、いいイメージもあったことでしょう。

 張本選手はレシーブからの展開であまり得点できず、コース取りが少し単調になりました。2ゲームを奪われ、第3ゲームで4-2とリードした場面でタイムアウトを取ったことにも驚きました。レシーブのときにタイムアウトを取ったということは、それだけレシーブに自信がないのかな、と映りました。

 全日本選手権の雰囲気は独特で、五輪や世界選手権とも違います。私は2012年に13回目の出場で優勝できましたが、気持ちの面でのまれてしまうことが多かったです。初優勝まではベスト8やベスト16などを繰り返していて、組み合わせが出たときに、この選手と当たったら嫌だなとか、どうして反対のゾーンに嫌な選手がいないのだろうとか、正直そういう気持ちがありました。

 ただ、初優勝のときは、あり得ないことなのですが、たとえ総当たりだったとしても勝てる、という気持ちでした。すべてのことをやり切った、と自信を持ってコートに立てたから優勝できたのだと思っています。

 全日本選手権は、どちらが勇気を振り絞れるかが勝敗を分ける一番のポイントだと思っています。例えば長いサーブを出したいと考えたときに、思い切ったプレーができるかです。連覇も難しくて、右肘の手術を経て2013年の大会を迎えた私の場合はケガの功名という形でできましたが、みんなが向かってきますし、王座を守る意識だと勝てません。

 早田選手は、まずはケガだけには気をつけてほしいですし、張本選手は決勝で練習する部分が浮き彫りになったと思います。負けることが悪いことではなくて、次につながる決勝。ロサンゼルス五輪への代表争いは、し烈になると感じています。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス