豊昇龍 痛恨連敗で崖っぷち3敗目 綱とり失敗なら93年以来の横綱空位 平戸海に不覚、取組後取材に応じず
「大相撲初場所・9日目」(20日、両国国技館)
大関豊昇龍が平戸海の突き落としに屈し痛恨の連敗。3敗目となり、綱とりへ崖っぷちに立たされた。優勝が絶対条件だが、初日から9連勝の金峰山とは3差となった。今場所限りで横綱照ノ富士が引退し、大関琴桜は既に綱とりから脱落。春場所では1993年初場所以来32年ぶりとなる横綱空位が現実味を帯びてきた。1敗は千代翔馬のみ。2敗は王鵬、尊富士と上位は平幕のみとなった。
痛すぎる連敗だ。豊昇龍は花道で一瞬顔をしかめ、ぶぜんと支度部屋に引き揚げた。取材には応じなかった。
これまで幕内の対戦では6戦全勝で、場所前の稽古でも圧倒していた平戸海に対し、立ち合いで低く当たったが、左にいなされつんのめり、なすすべなく両手をついた。首をかしげて両手のひらの土を払った。
全勝の金峰山とは3差に開いた。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降に誕生した横綱33人のうち、直前場所で連敗して昇進した例はない。昨年の九州場所は13勝2敗で優勝に一歩届かず、今場所での綱とりには高いレベルでの優勝が求められている。12勝3敗で優勝する可能性は残されているが、状況的には厳しくなった。
今場所は横綱照ノ富士が2勝2敗で引退。先場所優勝の琴桜は2日目から5連敗を喫し、綱とりから早々と脱落した。豊昇龍も綱とり失敗となれば、来場所は1993年初場所以来の横綱空位となる。関係者によると、照ノ富士は「豊昇龍が横綱になれなかったら、巡業で土俵入りをしなくちゃならないのかな」と話していたという。
八角理事長(元横綱北勝海)は「(照ノ富士が)辞めているし、そういう気持ちもあるんじゃないの」と重圧を推し量りつつ、内容は悪くないとして「この相撲を続けること。かみ合えば全勝できるよ」と期待した。
全勝の金峰山、1敗の千代翔馬は今後、上位陣との対戦が予想される。優勝ラインが下がる可能性があるだけに、豊昇龍は前を向くしかない。
◆前回の横綱空位 92年夏場所直前に一人横綱だった北勝海が引退したため、翌名古屋場所から空位となった。93年初場所で曙が2場所連続優勝を果たし、横綱に昇進したため、翌春場所から空位が解消された。





