【柴田亜衣の目】パリ五輪決定の池江璃花子は「普通に56秒台が出る」100分の1秒差の代表権は「強さ」

 パリ行きの切符を手に入れ笑顔を見せる(左から)平井瑞希と池江璃花子(18日)
 競技を終えプールにお辞儀をする池江璃花子(撮影・持木克友)
 女子100mバタフライ決勝に出場した池江璃花子(撮影・持木克友)
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 「競泳・パリ五輪代表選考会」(18日、東京アクアティクスセンター)

 女子100メートルバタフライで池江璃花子(23)=横浜ゴム=が57秒30で2位となり、56秒91で1位だった平井瑞希(17)=アリーナつきみ野SC=とともに日本水泳連盟が定めた派遣標準記録(57秒34)を突破して代表入りを決めた。男子400メートル個人メドレーは松下知之(18)=スウィン宇都宮=が1位で代表入り。瀬戸大也(CHARIS)は2位で派遣標準記録に届かず、この種目での代表入りを逃した。3人が代表を決めた大会2日目。2004年アテネ五輪女子800メートル自由形金メダリストの柴田亜衣氏が解説した。

 ◇  ◇   ◇

 池江選手は前半、今までにないぐらい、いい入りをしました。ただ、全体として本人的には満足していないタイムだと思います。50メートルを26秒前半で入りつつ、後半を30秒前半でまとめられれば、世界でも戦えるぐらいに戻ってくるでしょう。

 後半は少し疲れた印象ですが、復帰後のベストを予選から出し、3回泳ぎ切り、代表権を取りました。平井選手が先に出ているのが分かっていて、松本選手が迫ってくるのも肌で感じていた中、焦らず、自分のやるべきことをやりました。普通なら焦るところですが、100分の1秒差で代表権を取ったのは、池江さんが持っている強さです。

 後半持たなくなったところを、あと数カ月で詰められれば、普通に56秒台が出るでしょう。五輪を見据えているようにも映りましたし、パリが楽しみです。

 平井選手は後半が強かったです。予選、準決勝と派遣標準記録を切っていましたが、代表選考会は独特の雰囲気があります。のまれて力を発揮できない選手もいる中で、自分のレースをやり切りました。男子400メートル個人メドレーで松下選手が代表権を手にしましたが、同じ高校生が先に決めたことも、少なからず影響を与えたかもしれません。

 松下選手は隣に瀬戸選手がいたことで、いい位置で泳げました。瀬戸選手に勝ったら五輪に行けるのでは?という考えもあったでしょうし、最後にその思いがつながったのではないでしょうか。

 瀬戸選手は必死さが伝わってきましたが、最後は詰め切れませんでした。どちらかというと、これまでは最後のクロールで力を発揮していくイメージでしたが、少しバテた印象です。

 伸び盛りの選手が代表に選ばれるのはよくあることですが、高校生が最初に決めたことは驚きでした。日本の競泳界は今、低迷していると言われていますが、その部分では希望が持てる2日目でした。パリでどのような泳ぎをするのか、本当に楽しみです。

 3日目以降に代表権を取る選手が増えていき、チームとしてそろっていく中、平井選手で言えば、池江選手の存在は心強い部分もあります。プラスアルファとして働くこともあるでしょう。まずは3人が決まり、いよいよパリに向けて動き出しました。3日目からも、どんどん決まってほしいと願っています。

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