坂本花織 感涙初V 口あんぐり「う~わ~」 荒川、浅田以来日本女子3人目!主要国際大会全てでメダル
「フィギュアスケート・GPファイナル」(9日、北京)
女子は世界選手権2連覇中の坂本花織(23)=シスメックス=がSPに続いてフリーもトップの合計225・70点で初優勝した。日本勢5人目の女王で、世界選手権、2018年に制した四大陸選手権と合わせて、五輪を除くシニアの主要国際大会を全制覇した。吉田陽菜(木下アカデミー)が3位で、住吉りをん(オリエンタルバイオ・明大)は6位だった。
「う~わ~!!」。初のタイトル獲得に、坂本は口をあんぐりと開けて喜んだ。得点発表を待ったキスアンドクライ。優勝を確認すると、涙がにじんだ。「昨年とは全く違う気持ちでここに立てているのが、すごくうれしい。自分に『よくやった!』と言ってあげたい」と感極まった。
重圧のかかる最終滑走。スピードのあるダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を降りると、ジャンプをリズムよく決めた。ヤマ場は3回転フリップがステップアウトとなった演技中盤。「あ、やばっ」と一瞬焦ったが「気持ち的にも目覚めて切り替えられた」と、その後のジャンプは全て成功させた。フィニッシュ後は両手を祈るように顔の前で握った。
鬼門を突破し、“悪夢”を振り払った。昨年大会はSPで首位発進ながら、フリーで最下位の6位に沈み、総合5位。初優勝を目前で逃し「過去最悪と言ってもいいぐらいだめだった」。雪辱に燃える今大会は、心身ともに好調を維持した。「ライバルは過去の自分。自分に打ち勝てたのがすごくうれしかった」と快挙を喜んだ。
シニアの主要国際大会(五輪、世界選手権、GPファイナル、四大陸選手権)のメダルを全て獲得するのは、日本女子では荒川静香、浅田真央以来3人目の快挙。「弱い部分があるからこそ、また頑張ろう、はい上がろうと思って頑張ることができる。それを乗り越えることで、より一層強くなれると身をもって感じた」。全日本選手権(21日開幕、長野)と世界選手権(来年3月、モントリオール)の3連覇へ、日本のエースはまた一つ大きな経験を得た。
◆坂本花織(さかもと・かおり)2000年4月9日、神戸市出身。4歳でスケートを始めた。神戸野田高を経て、神戸学院大経営学部を卒業した。16年全日本ジュニア選手権で初優勝し、17年世界ジュニア選手権は銅メダル。シニアデビューの17年に全日本選手権で2位に入り、18年平昌五輪で6位に入賞した。18年四大陸選手権を制し、同年全日本選手権で初優勝。22年北京五輪で銅メダルを獲得した。世界選手権は22年から2連覇中。159センチ。
◆フィギュアGPファイナル NHK杯などGPシリーズ全6大会のうち、出場2戦の総合成績で6位までが進出。日本勢の優勝は男子で2012年の高橋大輔、13~16年に4連覇した羽生結弦、女子で計4度制した浅田真央ら。昨年は男子の宇野、女子の三原舞依(シスメックス)、ペアの三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がいずれも初めて頂点に立ち、日本初の3種目制覇を果たした。




