琴ノ若 あるぞ大関 豊昇龍撃破トップと1差 残り全勝なら直近3場所合計33勝

 「大相撲九州場所・9日目」(20日、福岡国際センター)

 関脇琴ノ若が大関豊昇龍を寄り倒して、7勝目を挙げた。連敗を2で止め、トップとは1差。祖父に元横綱琴桜、父に佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)を持つ角界のサラブレッドが、大関昇進そして初の賜杯へ再加速していく。他の大関陣は貴景勝が平幕錦木を引き落として6勝目、霧島は朝乃山をはたき込んで7勝目。一山本は玉鷲を突き出して勝ち越し、単独首位をキープした。一山本を1差で霧島、琴ノ若、平幕の熱海富士と美ノ海が追う。

 冷静に攻めた。過去10連敗していた豊昇龍との結び。琴ノ若は、先場所で変化気味に立たれた経験を生かして立ち上がり、のど輪を受け止めてから猛反撃。右下手を力強く引いて胸を合わせ、暴れる相手を抑え込んで寄り倒した。「いつも慌てて投げを食っていた。焦らずに攻めようと思った」。難敵撃破に会心の汗を拭った。

 毎年九州場所で迎える11月19日は、26歳の誕生日。今場所は部屋の仲間に祝ってもらい、ワンポイントが入ったダウンジャケットを贈られたという。一番の思い出は憧れの祖父と過ごしたこと。祖父の誕生日は1週間違いの26日で、小学生の頃はケーキを囲んで一緒にお祝いをしていたという。

 その先代は26歳最後の秋場所で大関昇進を決めた。琴ノ若は名古屋場所で11勝、秋場所で9勝を挙げており、直近2場所で計20勝。今場所は2敗しており、大関昇進目安「直近3場所合計33勝」に届くためには残り全勝が必要となるが、過去には32勝でも実力十分と評価されれば昇進する例もあり、優勝となればその機運はさらに高まる。

 トップとは1差。まだまだ可能性は十分だ。祖父とは大関昇進で「琴桜」を襲名することを生前に約束している。「先代よりも早く上がりたい。細かな目標でも少しずつ越せていければ。皆さんに認めていただけるように地力を付けていければ」。くしくも千秋楽は祖父の誕生日。角界のサラブレッドが初の賜杯を目指し、ここからさらにギアを上げていく。

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