山本草太 競技人生体現のGP初優勝 後半立て直し8季目の初V「自分を信じて頑張ってきて良かった」
「フィギュアスケート・スケートカナダ」(28日、バンクーバー)
男子はSP首位の山本草太(23)=中京大=がフリー3位ながら合計258・42点でGP初優勝。三浦佳生(オリエンタルバイオ・目黒日大高)が2位、友野一希(上野芝ク)は4位だった。
山本が演じたフリーの4分間は、度重なる苦難を乗り越えてきた競技人生そのものだった。中盤に2度のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を失敗しても、くじけない。後半で立て直し、シニア8季目にして念願のGP初優勝。「自分を信じて頑張ってきて良かった」と感慨に浸った。
序盤はサルコーと2度のトーループの4回転ジャンプに成功。表彰台の常連だったジュニア時代のように、順風満帆な滑り出しだった。2016年冬季ユース五輪を制したが、その翌月に右足首を骨折。3度も手術を受け、一時は「どん底に落ちた」と引退を考えた。
それでも、大好きなスケートから逃げなかった。久しぶりに戻ったリンクで、ひんやりとした風を切る感覚が心地よかった。この日、終盤のステップは滑る喜びが体からあふれ出るようだった。「演技中も楽しめ、結果につながった」と自分の世界に入り込めていた。
GPファイナル2位と躍進した昨季から成長が続いても「さらにレベルアップしていきたい」と満足しない。今後はGP中国大会(11月10~12日)に出場し、GPファイナル進出を狙う。まだ23歳。報われた思いが、向上心をかき立てた。
◆山本草太(やまもと・そうた)2000年1月10日、大阪府岸和田市出身。6歳でスケートを始め、中学1年で名古屋へ拠点を移し、ジュニア時代は世界ジュニア選手権で銅メダル、ユース五輪で金メダルを獲得した。15年全日本ジュニア選手権優勝。16-17年シーズンにシニアに転向。昨季GPシリーズはフランス杯、NHK杯、GPファイナルですべて2位。趣味はサウナ、アロマ、音楽鑑賞。173センチ。





