ラグビー日本代表 8強に王手の中で見えた課題は? 松島幸太朗「ぬるい部分が出た」格上アルゼンチン戦では命取りに

 「ラグビー・W杯・1次リーグD組、日本代表28-22サモア代表」(28日、トゥールーズ)

 世界ランキング13位の日本代表は同12位のサモア代表に勝利した。1次リーグ2勝目を手にし、第4戦のアルゼンチン戦で勝てば無条件で2大会連続突破が決まる。決勝トーナメント進出へ前進した中で日本の課題が見えた。

 前半13分にフランカーのピーター・ラブスカフニ(東京ベイ)が先制トライ(G成功)。同28分にはSO松田力也(埼玉)がPGを成功させるなど序盤からリードを奪った。後半7分には相手WTBベン・ラムがレッドカードの退場により、数的有利にもなると同16分の時点では最大の17点差まで広げた。このまま主導権を持ち続ければ4トライ以上でのボーナスポイントも含めた勝ち点5も視野に入ったかに思えた。

 ただ、同25分には大外にフリーの選手を作ってしまいトライを奪われる。同38分にはゴール前でディフェンスがSOリアリーファノに突破を許し、ゴールも決められ終盤に6点差まで迫られた。日本は同23分にWTB松島幸太朗(東京SG)のトライがTMOによって取り消されるなどがあったとはいえ、思うように得点を伸ばすことはできなかった。

 第2戦のイングランド戦でも前半を9-13と僅差で折り返し、後半14分に1点差にしながら同16分以降に優位に運んできたスクラムも含めて守備が崩れ始め、最終的に突き放された。課題はラスト20分の失速にあった。

 後半に運動量や判断力が低下することはあるが、サモアに1トライ1ゴールでひっくり返されるスコアまで追い込まれたという内容は改善が必要となる。松島は「勝てたことはベスト8につながる勝利」と喜びつつ、「直すべきところはたくさんあります。自分たちのぬるい部分が時々出てしまったところもあった。気を引き締めないといけない」と危機感を厳しい口調で表現した。

 アルゼンチン戦でも僅差でラスト20分を迎える可能性は十分ある。だが、格上を相手に同じように終盤で失速すれば命取りとなる。松島は「第4戦のアルゼンチンもかなりプレッシャーをかけてくると思う。自分たちはそこを受けずに自分たちからプレッシャーをかけていきたい。ベスト8というところよりもまずは目の前のアルゼンチン戦へ向けて、もっと精度を高くしてやっていきたい」と想定した。

 課題を埋めるための収穫もあった。前半に見せたアタックはフィールドを広く使い、スピード感あふれるボール回しで相手を崩してトライまでつなげた場面も見られた。大会を通して試合を重ねるにつれ、ジャパンが成熟し本来目指すラグビーに近づいてきている。フランカーのリーチ・マイケル(BL東京)も「勝って自信がついた」と手応えを口にした。

 また、先発予定だったSH流大(東京SG)が負傷により欠場したことで急きょ福田健太(トヨタ)がリザーブ入りし、W杯で初キャップを獲得。日本代表では2年ぶりのスタメンだったFBレメキ・ロマノラバ(東葛)はプレーヤー・オブ・ザ・マッチの活躍を見せ、SO李承信(神戸)も本大会初出場を果たし、今後の選手起用の幅も広がっただろう。

 アルゼンチン戦は勝てば無条件で2大会連続8強が決まる状況。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチは「(サモア戦は)W杯での大きな勝利になったと思います。次の試合へ向けてもしっかりやっていきたいですし、ティア1とのタフな大一番になりますが、また楽しみにしたいと思います」と期待を膨らませた。

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