バレーボールのワールドカップ（女子は１６～２４日、男子は３０日～１０月８日・代々木第一）が開幕する。グループ上位２組がパリ五輪切符を獲得できる大一番に臨む日本だが、特に男子は今年、世界のトップ１６が参加する「ネーションズリーグ」で史上初の銅メダルを獲得し、注目が集まる。２００８年北京五輪以来の自力出場（２１年東京五輪は開催国枠）を目指す「龍神ニッポン」。その強さの秘密や今大会への期待など、日本バレーボール協会の川合俊一会長（６０）が熱く語った。

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　－五輪切符がかかるＷ杯。男女代表に期待することは

　「男子は崩れるバレーをやっていない。安心。怖いのはサーブが入ると勝てるけど、入らなくなると負ける。サーブは命。女子にも同じことが言える。ここで（五輪出場権を）取れるのが１番いい。１０カ月かけて五輪に向けて調整できる」

　－男子が強くなれた理由は何か

　「今活躍してる人はみんな海外でプレーして、自然と大きい人に対しての打ち方、速さに慣れている。（守備は）高橋藍がリベロ並みの守備力を持っていて、２人リベロがいるような状態」

　－海外経験で培った個の力を、誰がまとめているのか

　「ブラン監督はコミュニケーションをすごく取る。不協和音が全く聞こえてこない」

　（続けて）

　「やっぱり石川は尊敬されている。通訳は石川がしたりする。監督の言葉を言うから石川が監督？みたいな雰囲気。練習も石川がいないとピリッとしない。圧力じゃなくて引き締まる。僕も１回主将をしたけど、真剣な話をすると若い選手が『この後どうボケるんだろう？』みたいな顔で見てくる（笑）。普段チャラチャラした会話をしてると、大事な時に聞いてくれない」

　－男子はコートの外でも人気がある

　「僕が会長になった時に両監督にメディアにどんどん出してくれと言った。知らない人の試合を見たって、見ようと思わないですもん。よく見てる人が（試合に）出ていると見ようと思う。もう１つは海外で『ハイキュー』という漫画が人気。小さい人がジャンプして打つ。日本は“リアルハイキュー”みたいな感じでダブらせていることも多いみたい」

　－男子バスケが４８年ぶりに五輪の自力出場を決めた。同じ球技として感じたことは

　「五輪を見てても１番最初の種目で金を取ると、全然違ってくる。バスケが頑張ってくれた。これからラグビーも頑張ると思う。『スポーツは面白いな』と思った空気感をつなげていきたい」

　－五輪での期待を

　「メダルです、やっぱり。本気のブラジル、アルゼンチンに勝っている。今世界中が日本をマークしていて、研究される。五輪までに裏をかく攻撃パターンや、守備をレベルアップさせることができるかどうか」

　－イチオシ選手は

　「宮浦。朴訥（ぼくとつ）で雰囲気も面白い。（西田と）サウスポーが２人いるのがいい。あとは関田。抜群にトスがうまい。スパイカーが打ちにくいことがほとんどない。影の立役者」

　－昔と比べて、いい部分は

　「上下関係がない。昔は上の人の洗濯をずっと俺がしてた。しかも二層式。洗い始めたらすぐにすすぎにして脱水。シワになってたら怒られるから、（服を）たたかないといけない。百何十枚のユニホームを『おれスタメンでフルで出たんだけど』と思いながら洗濯していた。今はない。一定の敬語を使うとかは大事だけどね。（周りに）聞いてると、先輩にちょっかい出したりしてるみたい。いいと思う」

　◆川合俊一（かわい・しゅんいち）１９６３年２月３日、新潟県糸魚川市出身。日体大時代から日本代表でプレー。ミドルブロッカーとして活躍し「バレーボール界のプリンス」と呼ばれた。８４年ロサンゼルス五輪、８８年ソウル五輪に出場。現役引退後は解説者やタレントとして活躍した。２２年３月から日本バレーボール協会会長を務める。身長１９６センチ。

　◆バレーボール・パリ五輪への道　男女ともに選考方法は同じで１２カ国が出場する。１枠は開催国のフランスが保持。今回のワールドカップ（五輪予選）３グループのそれぞれ上位２カ国が出場権を獲得する。残りの５枠は２０２４年ネーションズリーグ１次リーグ終了時点（女子は６月１７日、男子は同２４日）時点の世界ランキングで、出場権を獲得している国を除く上位５カ国に与えられる。