【柴田亜衣氏の目】池江選手の経験はパリに向けてプラスにしか働かない

 「競泳・世界選手権」(29日、マリンメッセ福岡)

 女子50メートルバタフライ決勝は、21年東京五輪代表の池江璃花子(23)=横浜ゴム=が、25秒78で7位に終わった。2004年アテネ五輪女子800メートル自由形金メダリスト・柴田亜衣氏(41)は、今回のレースが1年後に迫ったパリ五輪に向けて「プラスにしか働かない」と明言。その理由を解説した。

  ◇  ◇

 池江選手はよく頑張ったと思います。初日からほぼレースを重ねてきて、疲れもあったことでしょう。初日の100メートルバタフライで予選落ちという悔しい思いをして、いろいろなことを経験して、この日も午前の50メートル自由形で予選落ちした中、世界の舞台に戻ってきたからには世界の人と勝負したいという気持ちを最後まで持っていたんだな、ということは話を聞いて思いました。強い心を持っていると感じました。

 疲れはピークにきていたはずです。出遅れるのは本人も分かっていたと思いますが、そんなにタイムが悪くなっていたわけでもありません。本当に最後まで頑張ったな、という思いが一番です。

 50メートル自由形からの気持ちの切り替えは、割り切って考えることができたのかなと思ったりもします。復帰後、決勝の舞台を目指してきたと思うので、気持ちが折れたまま泳ぐという考えにはならなかったはずです。そこを目標にしてきたでしょうし、本人は50メートルのバタフライだと言っていました。自分が元々持っていた目標を見失わずにいけたから、気持ちも切り替えられたのでしょう。

 今回の経験は、パリ五輪に向けてプラスにしか働かないと思います。どの種目で目指すのか、種目を絞るのか、戦い抜いていく体力をどう戻していくのかなど、自分の現状を見ることで、来年はもっと上手に戦えるようになると思うので、一年前にこれだけたくさんのレースを経験できたことはものすごくプラスになります。

 松元選手はメインの200メートル自由形では決勝に進めませんでしたが、100メートルバタフライの決勝を泳げたことが、きっと本人の中ではすごく良かったのではないかと思います。だからレース後にすっきりしたような表情をしていたのだと感じています。

 種目が違っても、世界大会の決勝に残ったことは必ず自信につながります。今でも200メートル自由形の悔しさはあると思いますが、来年に向けていい流れになったのではないでしょうか。

 ここまでの7日間を見て感じていることとして、多くの世界新記録は出ていますが、日本新記録が出ていないのはさみしい、というのが正直なところです。最終日では、女子50メートル平泳ぎで鈴木聡美選手が日本記録を出す可能性はあるので、そこは期待したいです。

 大会の序盤はなかなか準決勝、決勝と残る選手が少なくてさみしかったのですが、途中からは準決勝、決勝と残るようになってきています。特に20代前半の大学生などが自己ベストを出したりして、準決勝や決勝に進んでいる姿を見られたのは、来年にとっては非常にいいことです。

 メダルの数がこれまでの大会よりも少ないのでは?とか、若手が育っていないとも言われますが、準決勝など一歩でも先に進んだり、決勝で泳げているのはとてもいいことと捉えています。

 私は初めて日本代表に選ばれたのが大学2年で、アテネ五輪に出場したときは大学4年生でした。アテネの前の世界選手権は決勝にも残れない選手でした。ですから、今回残っている選手に対しては、来年もすごく楽しみだと思っています。

 ここまでの結果を見るとさみしいと思うかもしれませんが、世界と勝負できる、世界の人と戦う一歩手前まできている選手もたくさんいると感じます。多くの世界新記録が出ている世界大会を経験したことは、きっと来年プラスに働くと期待しています。

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