高さ27mハイダイビングで荒田恭兵が会心演技「すっごい生きてる!って感じがする」
「ハイダイビング・世界選手権」(25日、シーサイドももち海浜公園)
ハイダイビング男子が行われた。日本から唯一の出場となった荒田恭兵(27)は、2本飛んで102・00点の22位だった。27日に3、4本目を演技し、その合計点で最終順位が決まる。
高さ27メートル。降下速度90キロ強。着水の衝撃は「交通事故並み」。最恐で最高なエクストリームスポーツに、日本人が挑んだ。荒田は1本目の302E(前逆宙返り1回)で「(入水時に)体勢が取りきれなかった」と、水しぶきが高く上がり33・60点。雷雨で約45分の中断をはさんで、迎えた2本目の5461B(後ろ踏み切り前宙返り3回、半回ひねりえび型)では「今までの中で一番完成度が高かった」と、会心のノースプラッシュ(水しぶきの立たない入水)を決め、68・40点をマークした。
演技を終えると誇らしげに右手を挙げて、大歓声に応えた。「見て下さっている方から今まで感じたことのないような声は、かなり勇気になった。その中で飛べるのは光栄で、すごく力のみなぎる部分だった」と笑顔をはじけさせた。
ハワイの王や戦士が、崖から海に飛び込んで勇気を示したのが起源とされる。非五輪種目だが、世界選手権では13年バルセロナ大会から実施されている。
今回は海に面して会場が設置されており、砂浜を6メートル掘って海水を入れた15メートル×15メートルのプールに飛び込む。頭からの入水は原則禁止で、足から着水する技のみ。アクシデントがあったときは、すぐに救出できるように訓練を受けた4人のダイバーがプールに入って待機しており、選手は1本飛び終えるごとに「OK」のハンドサインで、体に異常がないことを示す必要がある。
もともと小学4年生から、飛び込み競技に取り組んできた荒田。2017年の日本選手権では優勝するほどの実力者だ。「引退」か「現役続行」の2択で悩んでいた日体大卒業前。「どちらも誰かが進んだことがある道。それはちょっと面白くない。自分の持っているスキルと、誰もやったこと…なんだろう。ハイダイビングじゃん」。日本唯一の“ハイダイバー”として進む道を選んだ。
もちろんコーチはおらず、海外選手の動画を見て独学で技を学ぶ。何よりも困難なのは練習場所。グーグルマップで「日本 崖」、「断崖絶壁」と検索したり、グーグルアースで海岸沿いを閲覧するなどして飛べる崖を探す。富山県出身で、見つけた“ホーム崖”は福井県の東尋坊。高さ15メートル~20メートルほどあるといい、競技に使う高さ27メートルに比べると足りないが、それでも通いやすさを考慮すると、うってつけの練習場所だという。
趣味は「崖探しとサウナ」。過去に着水の衝撃で気を失った経験もある荒田だが、飛ぶことを辞めることはない。「今でも27メートルから飛ぶとめちゃくちゃ怖い。でもそれを日頃のトレーニングや準備を積み重ねて、恐怖心を乗り越えて成功した瞬間は、何よりも爽快感を感じる。すっごい生きてる!って感じがする」。初出場の世界選手権で飛ぶのは残り2本。「ハイダイビングをしている選手がいることを伝えなくちゃいけない機会。後半(の3、4本目)もメンタルコントロールしつつ、やり切れたら」。日本唯一のハイダイバーとして、使命を背負って27日、空に舞う。




