井村雅代コーチ デュエットの22年ぶり金に苦言「勝負には勝った。でも私は評価しない」「格が違うわと」
「アーティスティックスイミング・世界選手権」(17日、マリンメッセ福岡)
アーティスティックスイミング(AS)の井村雅代コーチが17日、取材に応じ、16日に行われたデュエットテクニカルルーティン(TR)決勝で、予選12位から大逆転し、日本勢22年ぶりの金メダルを獲得した比嘉もえ、安永真白組(井村ク)に言及した。
予選12位通過の決勝競技順1番からの優勝は、今までのAS界では「ありえない」という。その上で「あの子たちは勝負には勝ったんだと思います。でも演技としては私は評価しない。あの子たちだけじゃなくて(各国)みんな下手くそ。勘違いしたらコーチも含めて、来年(パリ五輪で)えらい目にあうと思います」。自身のチームに所属する2人のさらなる成長のために、愛のムチを入れた。
今季から採点基準が大幅に変更され、表現力や芸術性より技の難度が重視されるようになった。難度の高い技を実施して審判に認められれば高得点となるが、失敗すればベースマーク(最低評価の点数)となる。そのためリスクを負ってでも高難度の演技に挑戦する戦略が、今の新ルールの主流。TRの基礎的な技や魅せる演技のレベル低下を指摘し、「みんなハイブリッド(高難度の足技)の方に気持ちがいってるんですよ。ハイブリッドをしないと点は取れないから。今までの私の知ってる技術の中では、あんなお粗末な技術はないと思う。ここにルールのおかしいところがあるなと。がっかりしました」と苦言を呈した。
また01年大会デュエットで金メダルを獲得した教え子の立花美哉、武田美保組以来の金メダルと報じられたことについては「(報道陣の)皆さん22年ぶりと書いてるけど格が違うわと思っています。皆さんでしょ。そんなしょうもないこと書いたん」と報道陣に笑いながらぼやいた。


