山縣亮太 右膝手術から帰ってきた 1年7カ月ぶり復帰レースは予選落ち「また頑張りたい」
「陸上・織田記念国際」(29日、エディオンスタジアム広島)
男子100メートルで、9秒95の日本記録を保持し、2021年10月に右膝を手術した山縣亮太(30)=セイコー=は地元・広島で1年7カ月ぶりの実戦復帰を果たし、10秒48(追い風0・5メートル)で予選落ちした。日本選手権(6月、大阪)の参加標準記録(10秒39)を突破できず、この種目での出場は逃した。今季は200メートルを中心に戦う予定。昨季の休養から復帰後、初めて国内で100メートルを走った桐生祥秀(日本生命)は、追い風0・5メートルの決勝で10秒29の5位。柳田大輝(東洋大)が10秒25で制した。
いろんな“縁”が絡まった復帰戦だった。山縣は6レーン。隣の5レーンには、ともに日本をけん引してきた桐生がいた。雨の中で号砲が鳴ると、桐生が前に出た。出遅れた山縣が懸命に追うも、着順は5番。決勝進出を逃したが「ここからスタートラインだな、と頑張れる」と爽やかだった。
地元での大会。10年前の2013年大会では桐生が予選で10秒01を出し、日本人初の9秒台への期待が高まった節目でもあった。21年東京五輪後に休養したという縁もある。レース後には2人で談笑し「隣のレーンは感慨深い」と笑顔をのぞかせた。
「大丈夫だと思ってもらえたら」と話した復帰戦は「逆に不安にさせちゃったかな」と苦笑い。ただ、実戦の高揚感は他で得られないものでもある。「やっぱり試合で負けるのは悔しいので、また頑張りたい」。再び駆け出した山縣が、復活の物語を描きにいく。





