ワリエワ、自身の疑惑描く新演目が物議 報道音声、黒フードに涙 米紙「前例ない」

 2月の北京五輪でドーピング騒動に揺れた女子最高得点保持者のカミラ・ワリエワ(16)が25日に行われたロシア代表による演技会の中で披露した今季のフリーの内容が物議を呼んでいる。

 映画「トゥルーマンショー」の音楽とともに表現されたのは、自らが当事者となった2月のドーピングスキャンダルだった。冒頭、ワリエワのドーピング疑惑を伝えるニュースの音声が組み込まれている前代未聞のプログラム。4回転ジャンプやトリプルアクセルはなかったが、キレのある連続3回転ジャンプや伸びやかなスケーティングで切迫していく曲調を表現し、演技の最後には、衣装の右肩部分に仕込まれた黒のフードを被った。これは北京五輪当時に、ワリエワ自身がフードを被って取材ゾーンを通過したことを示しているという。当時、ワリエワはフードを被り、取材ゾーンを通過。英国メディアから「薬をやったのか?」と問いかけられていた。

 演技後は思いがこみ上げて涙。ロシア放送局「チャンネル1」などによると、ワリエワは「みんなに自分のストーリーを見せて、伝えたかっただけ」と語った。トゥトベリゼコーチなどからこの演目の提案があり、受け入れたという。

 同演技会のYouTubeなどで世界的に公開されており、話題を呼んでいる。ニュース音声を使用されたクリスティーン・ブレナン氏は「USA TODAY」紙で「前例のないサプライズ」と驚きを綴り、「ロシアはまだ国際大会出場が認められておらず、このプログラムは非常に限定的なものになる可能性がある」と、指摘した。悪夢の出来事を追体験する形となる演目は、ロシア国内でも賛否を呼んでいる。

 国際スケート連盟(ISU)は、ロシアのウクライナ侵攻を受けたロシア、ベラルーシ選手の国際大会からの除外措置を今季も継続している。ロシアは国内各地で行われるシリーズ大会を主戦場として戦うことになる。

 また、ワリエワのドーピングを巡っては、ロシア・反ドーピング機関(RUSADA)が今月に入り調査を完了。10月に公聴会を開き、審理するとしている。

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