不破聖衣来 涙と笑顔の復帰戦V「けがなく走ることは楽しい」インカレ1万Mで145日ぶり実戦

 金メダルを手に笑顔を見せる不破聖衣来(撮影・高部洋祐)
 ゴール後、涙と汗をぬぐう不破聖衣来(撮影・高部洋祐)
 不破聖衣来(右)と並んで力走する小林成美(撮影・高部洋祐)
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 「陸上・日本学生対校選手権」(9日、たけびしスタジアム京都)

 女子1万メートル決勝が行われ、日本歴代3位の記録を持つ学生女子長距離界のホープ、不破聖衣来(ふわ・せいら、19)=拓大=が145日ぶりのレースに挑み、32分55秒31で初優勝を果たした。今年1月からけがに苦しみ、4月の陸上日本学生個人選手権以来約5カ月ぶりの実戦。レース後には涙を流した。

 汗と涙が入り交じった。序盤で先頭につけた不破は、5000メートルで一度6番手に下がったが、7300メートル過ぎで再び前に出た。「プランにはなかったけど、ここで勝負したい思いがあった」。ぐんとスピードを上げると、2位以下を置き去りにしてトップでゴール。「こういう大会はすごく楽しいなと思います。この大会に出るかどうか迷っていた。けがなく走ることは楽しい」と笑顔だった。

 苦難を乗り越え、再び競技場に戻ってきた。不破は昨季、駅伝で数々の記録を打ち立て、昨年12月の1万メートルでは日本歴代3位(当時は2位)をマーク。陸上女子長距離界のホープとして一気に注目を浴びたが、今年1月に右足のアキレス腱の周囲炎などを訴えてからは苦戦が続き、7月の世界選手権(米オレゴン州ユージン)出場がかかった5月の日本選手権は出場できなかった。

 その世界選手権は、拓大の五十嵐利治監督とユージンまで見に行った。1万メートルのレースを見終えた直後、不破の第一声は「この人たちに勝つためにはどうすればいいですか?」。世界トップの争いを肌で感じ、「世界の力や選手の強さを直接感じることができて、もっと気が引き締まりました」と大きな刺激になった。

 エントリーしていた今大会の5000メートルは出場しない意向で、今後は9月25日の関東大学女子駅伝対校選手権に出る可能性がある。12月に1万メートルでの日本記録更新も目標に掲げた。「世界と戦う中で日本記録は通過点、そこは切らないと勝負できない」。再びスタートを切った19歳の言葉は頼もしかった。

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