内村航平 晴れやか引退会見「ありがとうじゃ感謝伝えきれない」今後は普及メインに活動へ

 引退会見を終え笑顔で手を振る内村航平(撮影・開出牧)
 大勢の報道陣を集め引退会見を行う内村(右)
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 体操男子個人総合で、五輪・世界選手権を合わせて8連覇を成し遂げ、“絶対王者”の異名を取った内村航平(33)=ジョイカル=が14日、都内で引退会見を行った。約30年間に及んだ競技人生を振り返り、「栄光も挫折も経験できた」と胸を張ったキングは、体操への熱き思いを語り、今後は普及などに尽力していく考えを示した。3月12日に体操選手としては異例の引退試合「KOHEI UCHIMURA THE FINAL」(東京体育館)で最後に全6種目を行い、体操選手として区切りを付ける。

 強烈すぎる光と影、選手人生におけるすべてを見てきたという自負があるからこそ、胸を張って勝負のフロアを去ることができた。

 紺のスーツに身を包み、ゆずの「栄光の架橋」のBGMに乗せて登場した内村。不滅の世界大会8連覇、個人総合9年負けなしの40連勝と、キャリア終盤の故障禍に、スペシャリスト転向、そして東京五輪での予選落ち。天国と地獄が交錯した30年に「正直、あんまりよく分かっていない。あんまり辞めたいと思ってないというか、やれるならいつまでもと思っていたので。実感はあまりない」と笑いながら「30年中、16年間ナショナル強化選手として活動させていただいた。人生の半分以上を日の丸を背負ってやってこられたのは誇り。栄光も挫折も経験できた。本当に貴重な経験をさせていただいた」と、晴れやかに言い切った。

 引退を決断したのは、悪夢の予選落ちに終わった昨年の東京五輪を終え、10月に生まれ故郷の北九州で開催された世界選手権に向けた練習の中だった。「ちょっとしんどすぎた。このままだとちょっと先が見えないなと」。かつて量も質も「世界一」と自負していた練習が積めなくなった。「自分の中で諦めじゃないですけど、もうキツいな、と。メンタル的な部分が大きい」。引き際を悟った。

 今後は体操の普及をメインに活動していき、後輩たちにも自身の経験を惜しげもなく伝えていくつもりだ。そして、自身もまだまだ体操を深く追究していく。

 「今、世界中のどんな選手、コーチよりも自分が一番体操を知っているという自負がある」。それでももっともっと愛していく。

 「体操」への思いを問われて言った。「『ありがとう』とか、そんな軽い言葉じゃ、感謝を伝えられない。体操というもので内村航平が作られた。だから体操ということに対して、世界で一番僕が知っている状態にしたいし、ずっと勉強を続けたい。極めるとかそういう次元よりももっと上の所までいきたい」

 選手生活を通して、こだわってきたのは「着地」。内村が見据える人生の着地点は、まだまだ先にある。

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