世羅 高校駅伝連覇 前日足の違和感でメンバー外、主将・塩出の思い全員でつないだ
「全国高校駅伝」(26日、たけびしスタジアム京都発着、男子=7区間)
男子は世羅(広島)が2時間1分21秒で2年連続11度目の優勝を果たした。1区10キロで森下翔太(3年)が28分49秒の区間賞で走り、その後も各選手が一度もトップを譲ることなく完全優勝。15年に同校が樹立した2時間1分18秒の大会記録には及ばなかったが、歴代2位の好記録で頂点に立った。女子は仙台育英(宮城)が1時間7分16秒で2年ぶり5度目の優勝。男女とも歴代最多優勝回数を更新した。
力強く両手を握りながら、ゴールテープを切った。大黒柱を欠いても、強さは変わらない。世羅のメンバーが雪が舞う都大路で堂々の走りを見せ、2年連続V。新宅監督は「みんなが責任を感じて走ってくれたことが勝因」とねぎらった。
2020年同様、1区を任された森下が好発進を決めた。残り1キロで佐久長聖(長野)との一騎打ちを制し、28分49秒で区間賞を獲得。これで主導権を握ると、最後までトップでタスキをつないだ。
負けられない理由があった。大会前日、主将でアンカーを務める塩出が足の違和感を訴えてメンバーから外れた。4区を走った吉川は塩出と小中高の幼なじみで、小学2年から同じ陸上クラブに所属。主将は負けず嫌いで、その性格が自身を高めてくれたという。
最後の大会で走れなかった仲間の悔しさを刻み、耐え抜いた。「(塩出の)思いを受け継いで走れるのは、自分しかいないと思った」。チームを支えてくれた精神的支柱に、最高の結果を届けた。その思いに塩出も「うれしいし、みんなが自分のことを考えて走ってくれた」と感謝した。
史上2校目となる3連覇の夢も膨らむ2022年。真冬の京都で、“チーム世羅”が黄金期の到来を予感させた。