羽生結弦 公式練習で4回転半“着氷”フリーで投入明言 人類初成功へ「僕の使命」

 公式練習に挑んだ羽生結弦(撮影・堀内翔)
 ジャンプの着氷を決める
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 「フィギュアスケート・全日本選手権」(23日、さいたまスーパーアリーナ)

 24日にショートプログラム(SP)に臨む男子の羽生結弦(27)=ANA=が、公式練習でクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を“着氷”した。回転不足ながら両足で降りた。26日に演じるフリーの冒頭で「入れたい」と、実戦初投入を明言。3連覇が懸かる北京五輪についても挑戦を表明した。右足首のけがで羽生はGPシリーズ2戦を欠場しており、今大会が今季初戦となる。

 夢へ向けたここまでの歩みが確かなものだったと、証明する35分間の公式練習だった。白のジャージーを着て本番会場のリンクに登場した羽生。練習時間終盤で「最終目標」と語ってきたクワッドアクセルに挑戦した。

 8度挑み、回転が抜けたのが4度。1度は転倒。残る3度は回転不足とみられるが、両足で降りた。特に終了間際に跳んだ最後の1本は、右足にしっかり体重が乗った状態で着氷。4月の世界国別対抗戦(大阪)公式練習で挑んだ際には成功はなく、氷に打ち付けられるような状態だっただけに、人類初成功へ着実な進化を示した。

 「今日やるべきことはやれたかな」。大技はフリー冒頭で投入予定。成功へ向け、羽生は「軸作り」と「回転」の両輪を、それぞれ重視して練習してきたという。

 この日は「軸作りが一番大事だと思ってたので。回転はそんなかけてない」と説明。回転の意識を強めた場合、回転不足の程度は弱まるが、逆に着氷のコントロール難度は一気に上がる。「両立は難しい」と言い、練習でも完璧な成功はまだないと明かした。

 一方で、完成が近づいている実感があるからこそ、満足感や達成感、疲労感、悔しさ、さまざまな感情が頭をかけめぐっている。その中、行き着いたのが「僕だけのジャンプじゃない」という強い思いだった。

 「跳ぶのは僕。言い出したのも僕だけど、みなさんが僕にしかできないと言ってくださるのであれば、それを全うするのが僕の使命なのかなと思った」

 世界中から降り注ぐ期待を一身に背負う、前人未到の大技への挑戦。目指すのはもちろん今大会での4回転半成功だ。ただ「クリーンな判定ではないと思うしGOE(出来栄え点)もプラスがつかないかも」と自身が分析するように、十分な手応えが得られたわけではない。「諦めてはない」と話すが、完成形へと向かうその道の「延長線上」に浮かび上がるのが北京五輪だった。「腹をくくってここまできた」と挑戦を明言した。

 3連覇が懸かる大舞台で、夢の大技の成功へ-。まずは今季初戦となるこの全日本選手権。羽生にしか舞えないプログラムを全身全霊で届け、未来への道を切り開く。

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