滲む中国への配慮 バッハ会長が不明中国選手と電話で「安全」確認 北京五輪へ火消し

 モニター画面に映る中国の女子テニス選手、彭帥さんと会話を交わすIOCのバッハ会長=(C)IOC/Greg Martin
 北京で開かれたイベントに姿を見せた彭帥さん(中央)=21日(ロイター=共同)
 IOC・バッハ会長
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 女子テニスのダブルス元世界ランク1位の彭帥(Peng Shuai)が中国共産党の最高指導部メンバーだった張高麗元副主将に性的関係を強要されたと告白した後、安否不明となっていた問題で、国際オリンピック委員会(IOC)は21日、トーマス・バッハ会長が彭帥と30分間のテレビ電話の通話を行い、無事を確認したと声明を発表した。

 「彼女は北京の自宅にいて、安全で元気であると説明しました。友人や家族と一緒に時間を過ごすことを好んでおり、現時点ではプライバシーを尊重してもらいたいと考えています。ただ、彼女は彼女の愛するスポーツであるテニスに関わり続けるでしょう」。

 テレビ電話にはIOCのアスリート委員長のエマ・テルホ氏も参加。同氏はIOCを通じて「彭帥が元気にやっている姿をみて、安心しました。彼女はリラックスしているように見えた」と、説明した。バッハ会長は来年2月の北京五輪で中国を訪れた際に、彭帥を夕食に招待することを提案し、彭帥も受け入れたという。

 同問題についてはスポーツ団体や人権団体、選手、また米国などの国単位でも懸念の声が上がっており、来年2月の北京五輪を控える中で中国政府、IOCとも火消しに動いたとみられる。

 IOCと中国を巡っては、東京五輪を前にした今年3月のIOC総会後にバッハ会長が中国側から新型コロナワクチンを東京五輪参加者に提供する提案があったことを発表。日本側は知らされていないほどの電撃的な発表だった。各国が問題視する新疆ウイグル地区の人権問題についても、IOCは静観する姿勢を示している。この日の声明でもこの問題の一連の流れには一切言及せず、中国側への配慮が際立った。

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