ザギトワを超える衝撃 15歳GPデビュー世界新V“絶望”の異名持つワリエワとは

 ロシアの誇る新たな天才少女が、世界に衝撃を与えた。フィギュアスケートのGPシリーズ第2戦・スケートカナダが31日までカナダ・バンクーバーで開催され、女子はカミラ・ワリエワ(15)=ロシア=が、SPで世界歴代2位の84・19点、フリーと合計点は10月に自身がマークした世界歴代最高を大幅に更新する180・89点と265・08点。2位の15年世界女王エリザベータ・トゥクタミシェワ(24)=ロシア=に32・2点差をつけ、シニアGPデビュー戦を圧勝で飾った。

 ジュニア時代、ライバルにショックを与えるほどの強さから“絶望”の異名を持つ15歳が、来年の北京五輪で金メダルを目指すライバルたちに評判通りの“絶望感”を突きつけた。トリプルアクセルを成功させ、世界歴代2位の得点をマークしたSP。そして圧巻だったのはフリーだ。トリプルアクセルの着氷こそ乱れたが、4回転サルコーと4回転トーループからの連続ジャンプを2つと計3本の4回転ジャンプを決めた。SP、フリーともジャンプはすべて両手を上げる“タノジャンプ”。表現力などを示す5項目の構成点でもSP、フリーとも最高得点。体の柔らかさを生かしたスピン、スピード感溢れるステップ、表現力とすべてを兼ね備えた別次元の演技だった。

 合計点は同大会の男子でも2位相当。フリーの技術点は男子のトップ選手並みの106・15点。男子で優勝した世界王者のネーサン・チェン(米国)がフリーでマークした107・68点とわずか1・53点しか変わらなかった。ロシアのタス通信はワリエワのフリープログラムの曲名も含め、畏敬の念を込めてこう見出しをつけた。「虐殺のボレロ」。

 昨季までのシニア勢力図を一気に覆し、北京五輪金メダル最有力候補に躍り出た。この流れは同じエテリ・トゥトベリゼコーチ門下で15歳のシニアデビューシーズンに連勝を重ね、18年平昌五輪金メダルを獲得したアリーナ・ザギトワの流れを思い起こさせるが、スコア、演技内容の衝撃度ではザギトワを上回る。

 大会後「スコアには本当に興奮している。より良い演技を目指していきたい」と話したワリエワ。キス&クライではマイメロディのぬいぐるみを膝にのせ、あどけない笑みを浮かべる15歳のニューヒロインを中心に、夢舞台の頂点を巡る争いは繰り広げられていく。

   ◇   ◇

 カミラ・ワリエワ 2006年4月26日、ロシアのカザン出身、モスクワ在住。2009年にスケートを始め、現在は18年平昌五輪金のザギトワらを育てたエテリ・トゥトベリーゼ・コーチに師事。19年12月のジュニアGPファイナルを制すると、翌20年3月の世界ジュニア選手権も優勝した。趣味はダンスとお絵かき。身長160センチ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス