照ノ富士が満点発進!206キロ巨漢を電車道 史上9人目の快挙へ早くも“1強”ムード
「大相撲秋場所・初日」(12日、両国国技館)
新横綱照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=が小結逸ノ城(湊)を寄り切って横綱初陣、満点星を飾った。いきなり一人横綱の重圧もなんの、206キロ巨漢を電車道でねじ伏せる横綱相撲。横綱土俵入りでは豪快な不知火型を披露し、堂々たる貫禄で拍手喝采を浴びた。V争い期待の大関陣は正代もカド番の貴景勝も敗れる波乱。初日にして早くも“1強”ムードが漂い、史上9人目の新横綱Vへ突き進む。
もう何年も横綱を張っているような風格すら漂った。横綱として初めてとなる本場所の土俵入り。力強く両手を広げ、堂々たる不知火型が大きな照ノ富士によく似合う。声援禁止のため、せり上がりでは「ヨイショ!!」、「日本一」の代わりに万雷の拍手が湧き起こった。
1分48秒をかけた“お披露目”。稀勢の里の新横綱場所では1分30秒前後だった。緊張で所作が早くなりがちの中、ゆったりと華麗にやり切った。「思ったより雰囲気に慣れなかった」と本人は言うがノーミスの満点だ。
横綱土俵入りは「相撲を2番取るのと同じくらい大変」と言われる。両膝に爆弾を抱える照ノ富士に負担は少なくないが、不安など皆無だった。
結びの一番、巨漢逸ノ城をパワーで圧倒。必勝の左前ミツを引き一気に出た。4秒1で横綱1勝を挙げた。
「良かった。(緊張は)特にない。日頃からやってきたことを信じて一生懸命にやるだけ。責任感を持って土俵に上がらないといけない。(15日間)できることを精いっぱいやっていきたい」と自信と自覚があふれた。
横綱昇進伝達式の口上で「不動心」と「品格」を述べた。「これからの自分の生き方が自分の考えている品格。生き方で証明していく」。強い決意を心に自身の信じる横綱道の一歩を踏みだした。
新横綱を一人横綱で迎えるのは2003年春場所の朝青龍以来18年ぶり。初日から一人横綱で新横綱Vを果たせば史上初となる。両膝負傷などで大関から序二段に降下。地獄から角界の頂点をつかんだ不屈の男に破れぬ壁などない。