「東京パラリンピック・車いすテニス女子シングルス・決勝」（３日、有明テニスの森）

　世界ランキング２位の上地結衣（２７）＝三井住友銀行＝はマッチポイントを何度もしのぐ脅威の粘りを見せたが金メダルには届かなかった。０－２（３－６、６－７）で同１位のディーデ・デフロート（オランダ）に敗れ、自己最高の銀メダルを獲得した。

　インタビューでは涙を流した。言葉が出ず「すいません」と繰り返した。「目標としていたのが内容も充実した物にしてやりきって金メダルを獲ることだった。思うような結果にならなかったですけど…」と話した。

　第１セットは２－２から第５ゲームのブレークを許すと３ゲーム連続で失った。第８ゲームでブレークバックしたが、第９ゲームを奪われて３－６で失った。

　第２セットは３－５と後がなくなってから諦めないプレーを披露した。第９ゲーム、第１０ゲームで計６度のマッチポイントを懸命に防ぎ、５－５で並んだ。２ゲーム連取で流れをつかむと第１１ゲームをブレークした。だが、第１２ゲームはブレークされ、タイブレークに突入。１－０から７ポイント連取されて、力尽きた。金メダルには届かなかった。

　「ここ３、４カ月くらい自分のテニスを探しながら取り組んでいた部分もあって、きょうは思っているようなプレーができたんですけど、ディーデにそれを上回るパワー、戦術でやられたなぁと」と完敗を認めた。その上で。「最後の１ポイントまで自分のやりたいこと、諦めない気持ちが最後まで持てて、攻めていけたことは褒めてあげたい」と振り返った。

　「勝ちたいって言う気持ち、テレビの前で応援して下さるみなさまに勝っているところ６－５、タイブレーク、取りきるだけの力はまだまだなかったのかなと思います」。デフロートには６月の全仏オープン決勝でストレートで敗れるなど、四大大会では２勝８敗の成績だった。

　上地は両脚に先天性の障がいがあり、１１歳で競技を始めた。１４年に全仏を初制覇するなど、これまで四大大会は８度優勝している。リオデジャネイロ大会では銅メダルを獲得。今回の東京大会では開会式で聖火台に火をともすなど、大会の顔の１人として躍動した。

　４日はダブルスの３位決定戦に臨む。