パラ自転車 50歳・杉浦佳子が最年長金「生きていてよかった」攻略プラン遂行で快挙

 自転車女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~3)で金メダルを獲得した杉浦佳子
 力走する杉浦
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 「東京パラリンピック・自転車女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~3)」(31日、富士スピードウェイ)

 女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~3)で50歳の杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)が25分55秒76で金メダルを獲得した。日本パラリンピック委員会(JPC)によると、1996年アトランタ大会で柔道71キロ級を制した牛窪多喜男の46歳を上回り日本勢最年長。自転車女子では初の金メダリストとなった。

 記憶障害はあるが、難コースの攻略ポイントを頭と体が覚えていた。杉浦はレース前夜、走路地図にコーチから教わった注意点を一つ一つ書き込んだ。日本人最年長優勝を遂げ「本当に、生きていてよかった」と涙を浮かべた。

 2016年に趣味の自転車でレース中に落車し、記憶が途切れる高次脳機能障害になった。事故直後は自分の父親をも認識できず、大好きだった宮部みゆきの小説は漢字が読めずに挫折。小学生レベルの計算ドリルからリハビリを始めた。

 普段のレースから佐藤信哉コーチの後ろでコースを試走し、カーブや加速のタイミングを把握して臨んだ。ルートを間違えた経験もあるが、繰り返しの作業で記憶力の壁と向き合ってきた。

 会場の富士スピードウェイはカーブや急勾配など変化に富み、加速と減速の切り替えが鍵を握る。「事故直後を思えば、自分がこんなふうにできるとは」と自ら驚くほど完璧だった。

 競技者の立場から発信することも重要だと考え、認知症患者との接し方などを伝える講演活動にも取り組む50歳。事故の直後から、前日の食事や練習を思い起こして書く「10年日記」を始めている。「明日は日記は書かない。全部のレースが終わったら書きたい」と快活に笑った。

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