元稀勢の里の荒磯親方が独立 茨城県に部屋設立 「相撲の普及」「やりたい育成」

 日本相撲協会は27日、理事会を開き、荒磯親方(34)=元横綱稀勢の里=が8月1日付で田子ノ浦部屋から独立することを承認した。「荒磯部屋」を新設し4人の弟子とともに出発する。茨城県牛久市出身で新部屋は同市の隣、阿見町に来年夏前後に完成予定。それまで筑波大(つくば市)に稽古場を設置し、使用する。

 独立にあたり、代表での電話取材に対応。「親御さんから預かった弟子を強くさせ、成長させることが目標。伝統文化を継承し、弟子にも伝えていきたい。力士としての振るまい、言動も大切にしながら指導していく。同時に地域貢献を図り、相撲を通じて地域との交流に携わっていきたい」と抱負を述べた。

 親方転向後、早稲田大学大学院を卒業し、相撲部屋の経営をテーマに研究。「力士一人一人を見極め、個性を伸ばす指導を心掛ける。個性を伸ばすためには基本が大事なので、基本に忠実な稽古を重視したい。その上で力士一人一人に合った指導をしていきたい。大学院で新たな視野が広がったので、これからいろいろな局面で生かしていければと思う」と、理論的な指導で育てていく。

 部屋の場所は茨城県を選んだ。「引退して2年。大学院を含めていろいろな人の話を聞いて考えた。相撲の普及面を含め、地方の広い土地なら自分のやりたい育成ができる。環境を重視し、いろいろな挑戦ができると思った。故郷の茨城県へ恩返しをしたいという気持ちもある」と力を込めた。

 荒磯親方は2002年春場所、初土俵を踏み、2004年九州場所で新入幕。2017年初場所、悲願の初優勝を果たし、場所後に第72代横綱昇進を果たした。日本出身では若乃花以来、19年ぶりの新横綱誕生で空前の“稀勢の里ブーム”を巻き起こした。

 2017年春場所で2場所連続優勝したが、左上腕部を負傷。致命傷となり、横綱ワースト8場所連続休場となった。復活は果たせず、2019年初場所、引退した。

 引退後は部屋付き親方として弟弟子の関脇高安(30)らを指導。親方自らがスカウトした西原(報徳学園出身)ら3人の新弟子が先場所、序ノ口でデビューした。

 早期の関取輩出も今後の楽しみ。「自分は早く十両に上がったが、伸び悩んだ時期も結構あった。だから最終的にどこにいるかが大事。一気に上がっても、上がったら落ちないことが大事。早い遅いは関係ないと思う。力士の体づくりに時間をかけてやっていきたい」と、焦らず着実に育てていく考えだ。

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